
Q1.講師をはじめたきっかけを教えてください
元は学生時代に始めたアルバイトからでした。そこで教えることの難しさと楽しさを知り、この道に進みました。初めは小学生、中学生向けの指導から始め、次第に大学受験、医学部受験と指導内容がステップアップしていきました。が、指導する内容自体はだんだんとレベルが上がっていっていますが、教える事の難しさは実は小学生相手の指導が一番難しかったかもしれません。自分にとって当たり前だと思う事を教えることは本当に難しいです。自分にとっての当たり前は相手にとって必ずしも当たり前ではないこと。相手の話をよく聞いて、相手の理解度に合わせること。相手に合わせた噛み砕いた説明を、しかし本質から外れる事なく行うこと。学習の先を見据え、先に生きる布石を打つこと。これらの技術を、小中学生相手の授業の中で磨けたと思います。今は小中学生の指導から離れて久しいですが、この時学んだことは大学受験の指導においても非常に活かせています。その結果、小学生レベルの説明から最上級レベルの説明までが自在に出来るようになったのはちょっとした自慢です。
Q2.どんな授業を心がけていますか
独りよがりな説明に陥らないように心がけ、可能な限り生徒との会話を成り立たせるように気をつけています。本来であれば、話しを聞く側の理解度によって説明の切り口も早さも変えるべきであり、一人一人への説明は全く違うものである筈です。これが個別授業の強みであり、同時に集団授業の難しさにも繋がります。ただ、どちらが楽しいかと言えば、私はやはり集団授業が楽しいです。私は授業の中で積極的に生徒に当てます。但し、私は生徒から正解が聞きたいわけではありません。現時点で自分はどのような印象を持っているか、どのように考えているのかを聞いてみたいのです。それが分かれば生徒一人一人の理解度が分かりますし、それに合わせた説明法が探れます。それに何より、生徒の皆さんの独自の考え方を聞くのが楽しみなのです。
例えば昔、小学生向けの授業をしていた時に、当時の生徒に「花粉って何だと思う?」という質問をしたところ、「病原菌?」という答えが返って来ました。いや、別に笑い話という訳では無いです。日常生活の中で様々な科学の専門用語が使われることがあり、それらをなんとなく使ってしまいますが、実際には間違えた理解のまま専門用語を使っている例というのは多いのだ、と言う事をこれを機会に身に沁みました。しかしそれは同時に、我々講師側が常識としていることは世間一般の常識とはやはり違っており、それでは世間一般の常識を踏まえて、どのような解説をすべきなのかを工夫していく切掛になりました。なので、皆さんも授業中に恐れることなく間違えて下さい。授業中とは、間違える最後の機会です。
Q3.授業を進めていく中で大切にしていることを教えてください
生徒と会話をする事です。しかし、ただの無駄話ではなく、授業中に学んだ知識を用いた会話です。私は授業中によく当てます。しかし、私は皆さんから正解を聞きたいわけではありません。皆さんと授業で扱う専門用語を用いた会話をしたいのです。特に専門用語が多い生物で言えることですが、専門用語は知っているだけではダメです。使いこなせるようになりましょう。これが、所謂考察問題に取り組む上で非常に活きてきます。あとは、とにかく手を動かさせる。有機化学の構造式も、生物のグラフも。何故ここに酸素原子があるのか、何故ここで水平ラインが始まるのか。それらは眺めているだけでは理解できません。手を動かして初めてわかることです。授業中に何度も言うと思います。「物を考えるのは、頭を動かすことじゃない。手を動かすことです」
Q4.授業をしていて楽しいと感じる瞬間を教えてください
生徒との会話です。但し、こちらからの質問に対して正しい回答が返ってくる時はそれほど楽しさを感じなかったりします。どちらかと言えば、生徒の間違えた回答が返ってくる時の方が楽しいです。勿論単純なミスが殆どですが、間違いや勘違いが生じる原因を探っていくと、実は我々講師側の常識が一般常識とかけ離れているのが原因であったり、或いは大学受験独特の言葉の言い回しが原因であったり様々です。それらを探っていくのはなかなか他では味わえない楽しみです。そして、中には我々の想定していない解法を見つけてくれる生徒がいたりして、非常に刺激的な瞬間が味わえます。
Q5.受験勉強をしていく上で一番大切なことはなんだと思いますか
理解力があるに越した事はないですが、最も大切なのは定着力だと思います。
面白いもので、理解が早い人間は忘れていくのも早いです。あっという間に理解して先に進んだはいいけど、一ヶ月もすれば昔の内容があっという間に抜けていきます。逆に理解するのに時間がかかる人間ほどその内容に触れている時間が長いおかげか、意外と長く内容を覚えているものです。ではどうすれば定着するか。私が思うのは、自分の記憶力を過信しないことと、手を動かすことです。人間は自分の頭に何が入っているのか、わかっているようでわかっていません。解説を見ているようで細部にまで意識がいっていません。そのために私は穴埋め教材を用意しています。以前の内容を手を動かしながら常にチェックし、腱鞘炎になりながら地道に記憶を定着させていきます。
Q6.一会塾の良いところはどんなところですか
授業をしていく中で、新しくチャレンジしたいと思うこと、新しい工夫を思いついても、大手の予備校ではなかなか挑戦させてくれません。実を言えば大手で実践されているのは一昔前の指導法だったりします。しかし、一会塾では現地でのアイデアを非常に聞いてもらえるので、新しいアイデアをどんどん実践できます。我々講師にとっては、言ってみれば最新の指導法を実践できる貴重な場です。また、生徒の皆さんにとっても勉強に集中できる、非常に快適な環境が整っていると思います。
Q7.受講される方へのメッセージをお願いします
私の授業の特徴として、穴埋め教材の活用があります。一年の授業を通じる中でこのプリントが蓄積していき、一年間で自分の成し遂げて来たことを実感出来るようになると思います。しかし、授業中にも繰り返し言及すると思いますが、それらを眺めて安心するだけではいけません。常に復習中心に。一月前にやった穴埋めが今でも出来るか。授業中に扱った問題が本当に今でも出来るのか。チラ見して出来そうだな、ではいけません。常に手を動かして穴埋め教材が埋まるかどうかのチェック。そしてそれらのアウトプットとしての問題演習、という流れを身に付けていきましょう。
Q8.受講を検討されている方へのメッセージをお願いします
様々な問題に当たる上で、様々なテクニックが開発されて来ました。難問が一発で解ける、みたいな謳い文句の解法が数多く存在しています。しかし、気付いているでしょうか。それらの解放は、実は使える要件が結構厳しいです。解法や公式暗記での解き方は、それが使える条件も一緒に固め切らなければあまり実用的ではなかったりします。それに対して私の授業は「正攻法」です。多少手間は掛かっても、汎用性が高く、かつ自分で式の意味を理解した上で立式していく手法を紹介します。その為に必要なのは十分な基礎固めです。勉強しているはずなのになかなか結果に結びつかない方、一度基礎を見直してみましょう。そのお手伝いが出来るような授業になっていると思います。