【予備校業界最速!】プロが分析 ! 2022年 2/3実施 今年の順天堂大学 医学部 医学科の小論文は『パンゲア・プロキシマ大陸』ー面接・志望理由書・小論文指導 原田広幸講師

今年も出題されました。いわゆるビジュアル問題。「ビジュアル系」じゃありません。絵や写真を見て考察して文章を書く、というスタイルの小論文問題です。なお、順天堂大学医学部では、1次試験から小論文が課されます。制限字数800字以内ですが、制限時間は70分とやや時間にゆとりがあります。

 

今回も執筆は原田広幸先生

原田広幸(はらだ ひろゆき) 先生  プロフィール

一会塾講師 講談社 現代ビジネス ライター として、教育・医学部入試に関する記事を多数執筆、この道のプロフェッショナルである。

文筆業、ファシリテーター、進学・受験アドバイザー。東京外国語大学卒、中央大学法学部を経て、東京工業大学大学院修了、東京大学大学院総合文化研究科中退。専門は社会学・哲学。都市銀行、投資顧問、短大勤務など、幅広い職種を経験。医学部予備校を設立し10年以上に渡り、大人や文系出身者を主な対象とした医学部受験指導、編入学試験指導に携わり、一線を退いた現在は、アドバイザー、文筆家として活動。著書に『医学部入試・小論文実践演習~生命・医療倫理入門編』(エール出版社)、『30歳・文系・偏差値30でも医学部に受かる勉強法』(幻冬舎)、『医学部に受かる勉強計画』(幻冬舎)などがある。

講談社 現代ビジネス 原田先生 最新記事はこちら「2022年大学入試、じつは「2月にまだまだ出願できる」有名&優良大学がある…! ~医学・歯学・薬学・獣医学・看護学部など」

 

 

今年のテーマは、

「図は約2億5千年後に形成されると予測されているパンゲア・プロキシマ大陸を示している。この大陸にはどんな世界が広がっていると思うか、800字以内で書きなさい。」(本校受験生のレポートによる)

というものです。

 

 

出典は、“National Geographic”(『ナショナル・グラフィック』誌)の記事から。

出典はこちらから

 

 

ちなみに、パンゲアとは、ギリシア語で「すべて」と意味するpanと、「大地」を意味するgaeaからなる造語で、地質学者のウェゲナーが大陸移動説を提唱したときに考えられた巨大大陸のこと。現在の世界の諸大陸は、いまから2億年前にパンゲアから分離移動してできたとされています。パンゲア・プロキシマは、「次のパンゲア」、つまり、将来、大陸移動によってふたたび出来る(かもしれない)超大陸のことです。

 

さて、この問題、どのようにアプローチしたらよいでしょうか。こまかい用語説明はおくとして、約2億5千年後に形成されるパンゲア・プロキシマの図を見てみることにしましょう。

 

(↓イラストや写真の読み方、ビジュアル問題の解き方については、昨年度の順天堂大学医学部の問題解説をご覧ください。)

2021年 順天堂大 小論文「アザラシ」の問題 解説

 

 

  • 絵や写真を見て解釈する

 

まずやらなければならないのは、絵を見て解釈することです。そして、それを言葉で表現します。

 

オーストラリア大陸が、東南アジアとくっついて一体化し、新しい山脈が形成されています。南アメリカ大陸は、アフリカ大陸にくっつき、さらに北に押し上げています。大西洋は押し込められて、小さな内陸の海(湖)のようになっています。そして南極大陸(Antarctica)は、北上して南アフリカの東岸あたりにくっついて、南回帰線をまたいで赤道にまで伸びています。

 

東京やケープタウン(南アフリカ共和国)、ヒマラヤなどが赤道のほぼ直下に位置しています。大陸の中心は、全体的に赤道から熱帯地域に集まっており、北回帰線と南回帰線の間に大陸の大きな部分が収まるようなかっこうになっています。

 

  • 関連する情報にどういうものがあるか?

 

次に、この問題に関連する情報にどんなものがあるか探ってみましょう。とは言え、図の中の付帯情報と、あらかじめ知っている情報をそれぞれ確認することしかできませんが。

 

まず、下のほうにある小さい地図も見てみます。2億年まえの初期の恐竜が歩き回っていた(前回の)超大陸パンゲアの時代、1億年前の陸の塊が分割している時代、現代、1億年後に太平洋が縮まり集まり始めた時代、それぞれの時代の大陸の配置を示しています。2億年前の超大陸パンゲアは分割し、45千万年かけて、また超大陸(パンゲア・プロキシマ)に戻るのです。

 

あらかじめ知っている情報は、受験生によってさまざまだと思いますが、知っていてもよい情報だけ確認しておきます。現代の科学の通説では、地球の歴史は46億年から45億年前に始まるとされています。約5億年前にカンブリア爆発という生物種の多様化が起こり、2億5千年前に恐竜が出現します。その頃の大気は、酸素濃度が低く、二酸化炭素濃度が現代の数倍もあったそうです。そして、生物は、数度の大絶滅と進化を繰り返し、500万年前に最初の人類が誕生します。

 

  • 絵や写真をみて「構想する」

 

その次に考えることは、「構想」です。今年度は、例年のような「ストーリー」を構想する問題ではないのですが、「未来予想」という構想をしなければなりません。想像力を発揮して構想しつつも、十分にあり得る、リアリティの高い予想、説得力のある構想をするように心がけましょう。

 

現代世界の大陸分布では、多くの国は北半球、とりわけ北回帰線より上にあり、世界の大部分の人口を擁しています(中国やインドなどを見よ)。2.5億年後のパンゲアはどうでしょうか。すでに人類は存在していない(絶滅するか宇宙へ逃げ出すなどして)可能性もあります。

 

ここで、いくつかの大雑把なシナリオを考えることにします。まず、人間は存在するか。つまり絶滅していないか。次に、存在するとしたらどのように進化しているか(あるいはしていないか)。科学文明はどのように発展しているか。その時の自然環境はどうなっているか・・・?

 

人間がすでに絶滅しているか、地球外に逃げ出すなどして、この地上に存在していなかったとしたら、その時の環境はどうなっているか・・・?

 

上記のように、いろいろと想像力を膨らませて、シナリオを考えてみてください。解釈する対象が写真や絵の場合は、文章やグラフなどをよりも自由な解釈が可能です。しかし、この問題は、あくまで医学部入試の小論文試験ですから、SF作家なみの奇想天外な想像力を発揮する必要はありません。読み手(例えば大学の教授たちを想定)が、なるほど、こういう世界はありそうだと納得してもらえそうなものであれば良いのです。

 

  • シナリオを詳細に言語化する

 

シナリオができたら、それを再度、より詳細な言葉で表現し、「未来予想」を完成させます。それが、出題の「この大陸にはどんな世界が広がっていると思うか」という問いに対する直接的な答えということになります。

 

ただ、小論文として答案を書くことになるので、その答えである「未来予想」が、何を根拠になされたか、その説明を書けるとよいでしょう。そもそも小論文とは、ある「問い」に対して、自分の「答え」を「理由」もしくは「説明」をつけて述べる文章のことです。ですから、ただ未来予想をつらつらとかくだけでなく、そのように予想する根拠を付け加えるようにするとよいでしょう。

 

たとえば、以下のような感じです。

 

・予想(答え):「中心部には砂漠が広がり、生き残っている人類は主に南北回帰線より極地寄りの、より寒冷な地域に集まって住むようになっているだろう。」

・根拠(説明):「地球は自然なサイクルによる寒冷化と温暖化を繰り返した。しかし、人間の開発で植物の生存環境が悪化したことによって植物による光合成が少なくなり、また、人間は、その過度な生産活動による二酸化炭素排出を抑制できなかったため、二酸化炭素は増え続けた。その結果、温暖化は進み、パンゲアの中心地帯である赤道近くでは、ほとんど人間が住む環境はなくなった。」

・予想(答え):「陸棲の生物が多様化する。とくに昆虫類の多様化が進み、一方で人間を含む大型哺乳動物は生活圏を奪われて、多くが絶滅する。人類の食生活は昆虫食が中心になり、人工的にコントロールされた工業的農業によって、かろうじて野菜や果物などの栽培が維持される。」

・根拠(説明):大陸が地続きになったことで、陸棲生物の行き来が促進され、遺伝情報の交換が増え、新種が誕生する。過度な温暖化と居住可能域の減少で、哺乳動物や鳥類が激減し、一方で環境に適応した昆虫類が増殖する。巨大大陸の中心には、海で発達する雲がとどかなくなり、その結果、砂漠化する。とくに内陸部で水の確保が難しくなり、この理由もあって、人工的管理による農業生産以外での植物栽培は難しくなる。」

 

今回の「パンゲア」の問題は、昨年度の「アザラシ」の問題と同様、地球環境問題に関連したテーマを思い浮かべる人が多いと思います。それと、地球全体の歴史を大雑把に踏まえつつ、将来予想ができれば、まずまずでしょう。

 

ほかにも、パンゲアに人類が生き残っているとして、言語の進化はどうなっているかに言及しようと考えた人もいるかもしれません。「すべての大陸が陸続きになることによって、言語は一つになる」という予想もありえなくはないですが、それだけでは、大学入試レベルとしてはナイーブな答えと思われるかもしれません。

 

たしかに、現代でも少数言語の話者が減っていることが問題になるくらい、言語の多様性は少なくなっていますが、それはある特定の言語が淘汰されたからというよりも、その言語を話す人と文化が少なくなったのが原因で、その逆ではありません。また、現代は英語帝国主義といえるくらい、さまざまな分野で英語が共通語化していますが、それは、英語以外の母語話者が英語に乗り換えたり、英語を母語とする人が増えたりしているのではありません。狭いヨーロッパ大陸の中でさえ、いくつもの言語が存在します。大陸がくっつけば、言語も一つになる、ということはなさそうです。(そのほかの要因、例えば、科学技術の発達とか、居住地域が極めて小さくなるとか、そういう要因で言語が単一化することはあるかもしれません。)

 

このように、文化はどうなるか、政治や社会、経済はどうなるか、など、想像できることはいろいろありそうですが、文章を書く制限時間をにらみつつ、適度なところで切り上げましょう。

 

今回の問題は、想像力を膨らませればなんでも書けそうな問題に見えて、実は、なかなかまともな構想は難しいという印象を持ちました。ある程度の科学的知識・教養を持っていないと、それこそ荒唐無稽なSFもどきの将来予想になってしまいがちです。ふだんから、受験科目以外のさまざまことに興味関心を持っておくことは大切です。

 

◆原田先生の授業は『メディカル小論文』2022年 3/21(月)~4/9(土) 春期授業にて、毎週(土)開催です。

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◆2021年の順天堂大 小論文「アザラシ」の問題の解説はこちら

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