大住彩水さん
神戸大学 医学部 保健学科 理学療法学専攻
聖心女子学院
~東京から関西の国立大学へ進学。関東の常識・聖心の常識とのギャップに戸惑いながらも持ち前の明るさとバイタリティーで大学生活も満喫。理学療法の奥深さが伝わる医療系志望者にはおススメ体験記~
昭和大学 医療保健学部 理学療法学科 特待生合格 |
順天堂大学 保健医療学部 理学療法学科 特待生合格 |
―お名前と大学をお願いします。
大住彩水です。大学は神戸大学、医学部・保健学科・理学療法学専攻です。
―彩水さんの学科は主にどういう職業に就くんですか。
理学療法士です。病院のリハビリ室でリハビリを指導したりとか、高齢者施設とか障害者施設で働いたりというイメージが分かりやすいと思います。一番多いのはやっぱり病院での勤務です。
―大住さんは、最初は医学部志望でしたか、それとも元々理学療法系でしたか。
自分の中では元は理学療法だったんですけど、乗せられて医学部志望にしていました。(笑) でもやっぱり自分は違うかもしれないと思って、いろいろな大学を見に行きました。そこで、ちょっと(医学部は)違うなと思って元に戻りました。
―周りの人から勧められたというのは、お母さんやお父さんですか。
いや、OGさんと学校でお話をする機会があって、そのときにいろいろな方からお話を聞いてでした。
―では、両方の可能性を残しつつ、受験に突入したという感じですね。
そうです。
―一会塾は何で知りましたか。
たぶんホームページで。いろいろなサイトが載っているものから、ホームページをお母さんが探しました。
―お母さんが探してくれたんですね、それで来てみて。いろろな塾と迷っていらしたかなと思うのですが。
高2の時に自由が丘の医学部専門の塾に通っていて、高3で学校の近くの方を探して、一会塾に変えました。
―高2のときは、何を受講されていましたか?
化学と、ちょっとだけ数学を最初やっていたんですけど、3カ月ぐらい。個別でした。
―高3の時、一会塾の受講科目は何でしたか。
生物と、前期は数学だけだった気がします。あとは講習で取っていたので。生物は高橋先生、数学は佐藤先生と山本先生に教わりました。
生物 高橋靖先生
数学 佐藤先生
―直近の話になりますが、神戸大学医学部保健学科は楽しいですか。
楽しいです。
―どんな大学ですか。我々東京方から見たら、全然分からない人も多いかもしれません。
キャンパスが4つほどあります。メインキャンパスは、鶴甲第1、鶴甲第2、六甲第1、六甲第2という4つのキャンパスがつながっていて、1つの大きいキャンパスみたいになっています。そこには経済・経営と、法学部、農学部、文学部などの学生が通います。他のキャンパスで2回生から過ごす人も、1回生の間だけ、そこで教養課程と言語を取りに行っています。あとは海事科学部という、船などに乗る人たちが行く海沿いにキャンパスがあって。それから医学科キャンパスと保健学キャンパスが、それぞれ別々であります。私は今は週4で六甲の方にあるキャンパスに通っています。
―メインキャンパスに行っているわけですね。
メインキャンパスに通って、週1で専門を取りに保健学キャンパス(名谷キャンパス)に通っていて、翌年から(名谷キャンパス)ずっとこっちになります。
―じゃあ、今は1年生の間、いろいろな学部の人と交流する。
それはあんまりないですね。歩いていると普通に、誰この人みたいな感じの、いわゆる大学という感じですね。
―自分の周りだけでもいいんですけど、友達はどういう人が多いですか。やっぱり関西出身の方が多いですか。
いえ、結構地方組や東京の子もいますし、石川とか各地から来ている子たちとか、九州もいます。
―同じ学科を見たらどうですか。同じ学科の人が、一番仲がいいんですか。
同じ専攻が、一番仲がいいです。
―男女比を教えてください。
今年は男子8人の、女子12人です。去年はたぶん男子12の女子8ぐらい。だいたい毎年半々で、ちょっとどっちか多いくらいですね。
―専攻は何人いるんですか。
20人です。めちゃくちゃ仲がいいです。
―20人しかいないんですか。狭き門ですね。理学療法だから、かなりマニアックな受験の仕方をしていると思いますが、みなさんどうですか。
私は理学療法のところしか受けていないんです、他に私大を受けたところも。でも、薬学部を受けていた子とか、あとはほかの全然関係ない心理とか受けていた子とかも、女子とかだったら結構いたりしますね。
―共通テスト(センター試験)の科目は覚えていますか。5教科7科目?
国語、数学、社会、英語だったと思います。理科は2科目やりました。生物と化学、基礎じゃない方で。社会は倫政です。
―倫政は何点取れたんですか。
倫政、低かった覚えしかないんですけど。(笑) 73点ぐらいだった気がします。
―全体の得点割合は覚えていますか。
85%ぐらい。
―2次試験の科目は、覚えていますか。
数学、理科1科目、英語です。
―数学と生物と英語だったんですね。キャンパスに受けに行きましたか。
保健学科のキャンパスの方で受けました。
―手応えは覚えていますか。
全然覚えていないです(笑)。
―やったら、すっと忘れるタイプだよね。そこが長所(笑) センターの85%は想定していたパーセンテージですか。
いえ、85%は取りたいなみたいな感じでした。
―85%で、リサーチはどうでしたか。
前期はたぶんAでした。後期がBぐらいでした。80あれば安牌って感じです。
―数学の試験範囲に、数Ⅲは入りますか?
入らないです。ⅠA、ⅡB。数Ⅲがすごく苦手なので。
―数学苦手だったよね。そこもポイントだったんですね。
―じゃあ、その20人の学科の友達の話に戻りますけど、半分以上が関西圏という感じですよね。
そうですね。半分以上が。東京方面から来たのは2人で、今年は珍しいと言われました。
―少ないということですか。
いえ、多いです。普通はいないので、去年の夏にオープンキャンパスに行ったときも、どこから来たのみたいに言われて、東京ですと言ったら、えっ、何でと言われたんです。
―もう1人は、都内の人。仲よくなりますね、それは。
はい、仲いいです。
―じゃあ、次に大住さんのパーソナルヒストリーを聞かせてください。いわゆるお受験をして聖心に入ったんですか。その当時の事は覚えていますか。
はい。全然覚えていないんですけど。(笑)
―確か妹さんは英語がしゃべれたみたいな感じでしたよね。
妹も聖心なんですけど、インターナショナル幼稚園、バイリンガル幼稚園に行っていました。
―そうか、帰国だったんだね。小学校から聖心で、何クラスあったんですか。
私の代までは1学年2クラスで、中学校になると入試で1クラス分入ってくる形でした。
―新しく入ってくる感じで、2が3になるわけですね。
そうです。3クラスになります。でも今はシステムが変わって、もともと3クラスです。私のときに1クラス42人で2クラスだったのが、今は1クラス32人が3クラスあって、小5で30人分だけ入ってきて、42人、42人、42人になります。
―小5受験って外部から取るということですか。4年間のカリキュラムだと一般のものと狂うと思いますが、それは大したことないんですか。
小中高って、一応初等科、中等科、高等科で分けているんですけど、そうじゃなくてファーストステージ、セカンドステージ、サードステージという分け方なんですよ、最初が。1から12年生まで。
―独自の教育課程になっているわけですね。じゃあ、聖心は2回入試があって、小1から入る人と、小5から入る人がいる。途中からの子は、なじむのが大変だったりしませんか。
最初は初等科からいる組、外部から組に分かれるけど、だんだん普通に部活の子たちとかで固まり始めて、普通になります。
―小学生だから、すぐになじむんですね。それで中学にそのまま上がって、同じキャンパスをずっと、同じ敷地内で小中高といくわけですね。
そうです。同じ校舎内で、小中高。
―聖心を受ける人たちに自分の学校を説明すると、どんな感じですか。まず、小学校は。
楽しかったですけど、12年間いると染まります。それはどこに行っても、染まります。
―それはそうだろうね。12年間同じところにいたら。そして今、神戸大学に行って、自分の社会とのずれを痛感している。(笑)
痛感しています、本当に。(笑) 身近な話だと、たぶんこれは聖心あるあるじゃなくて、カトリックで12年間育った子あるあるだと思いますけど、どこまでが宗教系なのかが分からないんですよ。宗教教育だと、日本でいう一般常識なのか、カトリックの学校で育っているからの一杯常識なのかが分からないから、ふとしたときに言った言葉が、だいたい通じないみたいな感じで。
―独特な言葉、用語、あるいは習慣みたいなものがあるということですか。
はい。まず、御ミサって通じないんですよ。
―御ミサ。
ミサってあるじゃないですか。ミサに普通に「御」を付けちゃうんです。ミサと言ったら通じるのに、御ミサと言っちゃうから、えっ、何それって。
―それはていねい語で「御」と付けるわけですね。何かで使うんですか、神戸大学では。
いや、普通にクリスマスの話のときにした覚えがあります。クリスマス周辺は、みんなにカトリックの学校育ちでしょうみたいな感じで、いろいろ聞かれました。どんな感じなのって。
御聖堂(おみどう)も通じなかったですね。
―御聖堂って何ですか。
御聖堂は聖なる堂で聖堂(みどう)なんですけど、それに「御」を付けて、お聖堂というんです。クリスマスというか普通に学校で、礼拝みたいなのがあるのって聞かれたので、週に1回御聖堂で朝礼をやっていたみたいな感じで言ったら、御聖堂? みたいな感じになりました。(笑)
―やっぱり神戸大学に入って、今はよかったと思っていますよね。
はい。
―そうですよね。同じように東京から神戸大学に行く人がいたとして、いいところを教えてくださいと言われたらどうですか。
神戸はおしゃれなところがいっぱいあるので、それは楽しめると。北野の方の異人館のところとか。
―勉強はやはり大変ですか。
はい、とても。たぶんそれはどこでも一緒だとは思うんですけど。解剖学にすばらしい先生がいるんですよ。授業は楽しいんですけど、プラスアルファの部分までたくさん教えてくださるから、覚える量が半端ないです。
―それは、たくさんある科目の中の1個で。
そういうのがめちゃくちゃ多いんです。
―熱量が入っていらっしゃる先生が多いんですね。それで宿題も多かったり、試験範囲も多かったりして、そういう意味でお勧めできないと。
あと、さっき言った六甲のキャンパスの方は、おしゃれなカフェとか周りにいっぱいあるんですよ。でも保健学科は本当に僻地に追いやられている感じで、めちゃくちゃ遠いし、住宅街の中に突然ぽつんなので、周りに何もないみたいな感じです。
―大学の中にしかお店がないみたいな。
はい。大学内も六甲はすごくいっぱい上にあったり、生協も広いところがあるんですけど、こっちは、食堂は狭くて生協もめちゃくちゃ小さい、みたいな感じで。20人が医学療法学専攻で、作業療法学専攻が20人、看護が80人、検査が40人、規模的には160人×4学年分はいるんですけど、でも実習でいない学年も多いので。
―500人が一応稼働できるような設備なんだけど、数千人の本部キャンパスに比べたら、全然規模が小さいと。
はい。めちゃくちゃ疎外されています(笑)
―今、一人暮らしですよね。本部キャンパスの近くなんですか。
はい、でも部活があるので、保健学キャンパスの近くじゃなく本部キャンパスの近くに住んでいます。
―メインキャンパスの近く。来年から、ほぼ保健に移動するんですよね。
毎日です。
―引っ越しますか。
引っ越さないです。部活もあるので。
―今住んでいるところからキャンパスは何分くらいですか。
メインの方が30分ぐらいです。保健学キャンパスは1時間ぐらい。
―部活は何部ですか。
ラクロスです。大学に入ってから始めました。
―神戸大学は、部活がすごく盛んなイメージがありますね。男女別?
別です。ルールも違うので、男子と。
―そうなんですね。もう試合はやったんですか。
はい、1回生だけが出る試合があるので。
―楽しいですか。4年生まで続ける?
一応そのつもりではいます。
―4年後のイメージはありますか。就職場所。
病院に勤務するか、院に行くか。わりと院進学者もいるんです、半分ぐらいは毎年院に行くみたいで。
―国立ですからね。院に行ったら何か資格が、さらに付いてきたりしますか。
神大の院だったら、特には。
―では、純粋に研究が好き、勉強が好きという人が院に行くんですね。
そうですね。たぶん卒業研究とかでやったりとか、解剖学の院に行く人もいます。
―有力な先生がいるから。解剖学が理学療法と、院でつながっているんですか。
理学療法では、骨とか筋肉とかを知らなきゃいけないんですよ。この筋肉の周りに、この神経があって動脈があるから、ここの筋が損傷したらみたいな知らなきゃいけないので、そういうことをやったりします。
―プラスアルファで、ちょっと分からないことがあるから勉強をすると。
理学療法の分野もまだ解明されていないところがあるんです。なぜこの筋が損傷したらって。支配神経というものがあって、この筋肉はここから始まって、ここまでみたいな。その支配神経の筋の、この筋肉が動くために、また神経が関わる。それがこっちが損傷しているはずなのに、何でまだ動くんだろうみたいなところが分かっていない部分も多いので、それを研究したりします。
―勉強家なんですね、神大生は。
―では、受験時代に戻って終わりますけど、センター試験の英語の点数、190点ぐらい取っていましたよね。
英語が190点でした。
―ひょうひょうと特待合格していたじゃない、順天。これは面接もありましたよね。順天のキャンパスに受けに行ったんですか。
はい、受けに行きました。
―どこでしたか。幕張じゃないよね。
順天だと今年度新設の学部なんですよ、理学療法は。1期生募集でお茶の水のところにキャンパスが、医学科の隣にできて、そこに行きました。
―ではお茶の水で受けたんですね。同じ形式で昭和も。
共通テスト利用(センター利用)で受けて、どっちも通りました。
―この特待生は、何がメリットか覚えていますか。
1年間の授業料免除でした。2年生からは払わなきゃいけなくて。どちらも一緒だったと思います。
―これは成績上位者が。
昭和は最初十何人が合格なんですけど、補欠合格じゃない正規合格者は、全員特待生扱いみたいです。
―それが十何人なんですね。じゃあ、上から十何人が特待生だったということですね。すごいじゃないですか。それは試験科目が影響していると思いますが、科目は。
順天が英語、数学。昭和は英語、数学、生物だと思います。
―一会塾で医学部生と もまれていたって、多少あるんじゃないですか。この学科の人たちの中でだと、すごい飛び抜けていたと思います。
それはあると思います。成績順はまあ、そういうことにしましょう(笑)。
―聖心の学校の子たち、医療系に進むってどれぐらいいるんですか。
私の学年は7人、8人ぐらいです。
―それは42人が3クラスの、120人ぐらいの中で7人。
はい、多くても10人ぐらいだと思います。
―その中で医学部に行く人っているんですか。
医学部は、今年の合格で行ったのは2人? 1人はどこも塾に行かずに勉強をした子と、もう1人は渋谷の名門会と、英語のどこかの塾に行っていました。
―じゃあ、本当に少ないんですね。理系自体が少ないんですか。
めっちゃ少ないです。数Ⅲ、いたのはたぶん20人くらいで。
―120人の中で。聖心の大学に上がるのは半分ぐらいで、他は全部出る。
推薦が多くて、カトリック推薦や指定校推薦で。カトリック推薦は上智だけで、8枠あります。プラス上智の指定校もあるし、ほかの指定校もあるので、それでわりと行きます。あとは慶應SFCが多いです。AOで。
―なかなか受験するモードなんですね、3分の2だと。
最近は多いと思います。でも12月ぐらいには3分の1ぐらいしか受験モードはいない感じです。推薦で行く人が多いので、だいたい夏過ぎ、10月ぐらいに減ります。
―SFCでAO推薦で行くという人たちが多いのはなぜですか。やっぱり学校名的に、慶應ブランドに行きたい。
そういう人がわりと多いかも。何ででしょうね。
―AO推薦、SFCは特に4000字か何かでプレゼンしなきゃいけなかったり、わりとハードルが高いと思うんですけどね。でも結構目指す人が、一定数いると。
結構多いし、目指した子は聞いた中では、割とみんな受かっていると思います。
―中学から入ってくる人はもういないんですよね。
はい、私の代までで。今は帰国生だけです。
―それだと、小5から入るしかなくて、本当に純粋培養された人たちが12年間過ごして、本当にその辺を歩いたら、すぐにだまされるかもしれないね。大丈夫ですか、神戸で。
大丈夫です。今のところ。
―気を付けてください(笑)。今日はありがとうございました。
ありがとうございました。