【合格体験記】早稲田大学 創造理工学部 経営システム工学科 現役合格 艾治一さん (広尾学園高校)

艾治一さん 

早稲田大学 創造理工学部 経営システム工学科

広尾学園高等学校

 

 

 

―少し遡って色々とお話を聞かせていただければと思いますが、まず、艾君は中学受験はされましたか。

 

はい。塾に通って。途中で校舎が変わったのですが、ずっとSAPIXでした。

 

 

―中1から中3はどんな感じだったんですか。

 

勉強に関してはあんまりでしたね。部活がバスケ部で、そちらに力を入れていたので、疲れて授業中はうとうとしてました。() それでも数学は小学校の頃から自信を持ってやっていました。中2で1回、僕の数学の恩師みたいな先生に、試験前に喧嘩を売って(笑)、「余裕ですよ」みたいなことを言っていたら、その先生に出されたテストがすごく難しくて、多分その時はじめて60点台を取ったんです。それまでずっと良い点しか取ったことがなかったので、その時はじめて本気で悔しいと思って、その時から数学の本気のスイッチが入ったっていう感じですね。その先生は良くも悪くも、人の気持ちを爆発させるのが上手かったんだと思います。

 

 

―良いめぐりあわせがあって、学びが深まったんですね。

 

はい。その先生から教わって自分の中で一番為になっているのは、「定義からしっかりと」ということです。数学において、どういう意味かとか定義をしっかり理解する。当時は、計算できれば何でもいいでしょって思っていましたが、今となってはその教えが僕の中で、ずっと繋がっています。

 

 

―なるほど。他の教科はいかがでしたか。

 

化学、物理もまあ好きで、英語と国語は大嫌いで。特に国語は本当に嫌いだったんですけど、嫌いなものを放っておいたら後々良くないなということも感じて、漢字とか、そういう覚えるべきものはちゃんと覚えました。あと英語も単語だけは腐らずにずっとやっていて。なのでそこは、自分は反抗的になり切れないんだなと思いました。(笑)

 

 

―中2までは数学が満点が当たり前だったということですが、その後はどんな感じだったんですか。

 

その後高2でまた1回折れて、そこからは学年1位とかを狙うようにはしてました。定期試験で満点を取ったりもしてましたし。

 

 

―そうなんだ。すごいね。(笑) その数学への熱い思いというのは、その恩師の先生から出たし、元を辿れば中学受験の時から数学が好きだったっていうこともあると。

 

あと父親の影響もありますね。父が数学が好きなんです。確か数学オリンピックで銅メダルを取ったことがあるらしいです。

 

 

―なるほど。やっぱり「好き」の力はすごいね。

 

―では高1の時は何をしていましたか。

 

高1は特に何もしてないです。高1は高入生、高校から入ってくる人たちと同じクラスだったので、そこでまた変な人たちと出会ったりして。(笑)

 

 

300人ぐらい卒業生がいますが、高校から入ってくる人は100人ぐらい。

 

2クラス分ぐらいだから60人ぐらいですかね。高入生の人から「お前高入生だろ」って言われました。雰囲気が内進生じゃないって。(笑)

 

 

―わかります、なんか勢いがあるからね。() 受験したんでしょみたいな。

 

―塾は中学では行かなかったんですか。

 

行ってました。渋谷のY-SAPIX

 

 

―そこでは中高一貫生ばかりの英数とかを取っていましたか。

 

そうですね。英語はやってはいたんですけど、真面目にやっているのに伸びないという感じでした。それで途中で英語のコマを取るのをやめちゃったんです。面白くないしできないし、やっているのに出来ないというストレスがあって。数学は続けていたんですけど、やっぱりできる喜びというのが大きかったからじゃないですかね。

 

 

―一会塾に来たのは高2

 

2の夏終りぐらいですね。

 

 

―きっかけって何かありましたか。

 

そのときの英語のクラスが合わないというのが自分の中にあって、それでもやっぱり英語の成績が良くないからどうにかしなきゃいけないなと思って。それで学校と家の間にある塾を探していたらここがあったんです。学校の友人が塾に通っていると聞いて、どこにあるのって聞いたら恵比寿の一会塾だったので、ちょうどいいなと。

 

 

―高2のときは何を取っていましたか。

 

英語です。鍋谷先生の英語をたくさん取っていたのを覚えてます。

 

  英語 鍋谷弘治講師

 

―英語が嫌いだったということですが、鍋谷先生の英語はどうでしたか。

 

論理的に話されるところがすごく好きでした。英語の参考書には、文法のSVOCとかがしっかりふってあって、この修飾がどこにかかるとか、ここはどういう関係かっていうのがただ書いてある。でも、正直それだけじゃ、分かってるけど長文とか実践問題でどう使うの、みたいな感じですごく悩んでいたんです。鍋谷先生の授業では、ここでこう使えばいいのかっていうのがすごくわかって、目からウロコでした。

 

 

―長文の下に全部線を引いて、SVOC、修飾関係、全部書いたプリントを渡していますよね。

 

そうですね。正直あれを試験中とかに全部やるのは無理ですけど、僕は修飾のところを、ここにかかってるっていうのは必ず書くようにしてましたね。

 

 

―それで数学的に、正確に処理する力みたいなのが養われたと。

 

あとは、毎回長文を沢山出してくれていたのも良かったですね。ちょうど東工大に行きたくて長文を鍛えたいと思っていたので、いい練習になったなと思います。あとの科目だと、川原先生の化学も取っていました。

 

 

―じゃあ数学はそのままSAPIXに通っていたんですか。

 

はい。

 

 

―高3になってどういう風に変わりましたか。

 

数学は変わらずSAPIXで取っていて、一会塾では英語と化学と、あと物理も最後まで取りました。

 

 

―物理はやり方は合ってましたか。

 

きれいでしたね、やり方が。もう本当に、このやり方でやりますって言っていた方法でずっとやっていて、初志貫徹している感じでした。それが実際に大学に入って効いてくるんです、やっぱり。物理というのは、1つの事柄を決めて、そこから全部派生しているっていうのが、大学に入ると本当にわかるんですよ。エネルギー保存の式とか、あれは単純にax=fを変形しただけで出るっていうのは本当にびっくりして。そういう『物理は繋がってる』ということを上手く伝えてくださっていたのが良かったと思います。

 

 

―抽象度の高い科目だし、教えるのも大変な科目だからね。

 

教える範囲がとてつもなく広いですよね。宇宙を構成する力から素粒子まで、みたいな。しかもその広い事象を力っていうものだけで説明しているから、力学はすごいなって思います。

 

 

―一番の得意科目は数学。そして物理、化学。化学も相当やりこんでいましたよね。

 

化学は好きでしたね。あと、一会塾に来ている友人が化学がすごい好きだったので、彼の鼻をへし折ってやろうと思って頑張ってました。(笑)

 

 

―あはは。いつもそういう感じだね。(笑) 彼も川原先生の化学をずっと取っていましたね。

 

川原先生の化学はすごいです。川原先生が出してくるものをしっかりこなしてると、本当に錯覚したかのように化学についてわかります。正直ビビります。(笑)

 

  化学 川原コウ講師

 

―計算して作られているのか、緻密な感じなんですよね。

 

そうですね、本当に。上手いです。何がすごいって、何かわからないけど点が伸びてるみたいな。そんな感じがしますね、本当に。

 

 

―高校で、医学部を受けようと考えたことがあるということですが、きっかけはなんだったんですか。

 

きっかけは、祖父がひざの手術で慈恵会に行ったんです。そのとき慈恵会のお医者さんにお話を聞く機会があって、遺体を献品すれば学費が少し免除されるみたいな話を聞いて、その話を祖父と祖母にして、そしたら2人が、「治一が行くならいいよ」って言って、それで医学部の話が持ち上がったんです。

 

 

―いずれ先のことを契約をするってこと。

 

はい。そういうのもありますよっていうのを父がお医者さんから聞いて。その話が食事の場で出てきて、もしかしたら考えてもいいかなと思いました。

 

 

―初めて聞きました。びっくりするような理由ですね。(笑)

 

慈恵会は医療機関の中で自宅から一番近くて大きくて、うちはよくお世話になってるんですよ。それもあって、あそこに行った時に、正直ここに入れるんだったら入ってみたいなと思いましたね。

 

 

―だけど最終的には受けなかったんですよね。

 

やっぱり自分は東工大に行きたいっていう気持ちが本当に強くて、中2からずっと思っていたので、医学部受験も考えるとなると両立ができるのかと葛藤しました。医学部を受けるんだったら100%医学部に傾けないと、50/50でふったところで絶対に両方落ちるなと思って。それで結局僕は、医学部も捨てがたいけど東工大にするって決めたんです。でもダメでしたけど。(笑)

 

 

―東工大あと10点っていうのは、成績開示の正確な点数なんですか。

 

ボーダーが大体400ぐらいなんですよ。それで、390ちょっとだったので。

 

 

―自分の点数はもらったんですね。

 

はい。

 

 

―うーんそうか。あと一問だったね、きっと。

 

数学のミスです。英語はどうせ取れない、本番でもミスすると思ってたんで、ある程度失点は許容しようと思って。その分、数・物は絶対取るって思ってたんですよ。それがあだになっちゃいました。

 

 

―何校ぐらい受けましたか。

 

理科大、早慶、東工だけです。

 

 

 

―強気だね。

 

もともと東工落ちたら浪人しようと思っていたので。父親もまあそれでもいいんじゃないという感じだったんですけど、センターが共通テストに変わるっていう話を聞いて、早稲田受かったし行くかとなりました。

 

 

―それで見事早稲田に入ったけれども、受験を振り返って、もうちょっと沢山受けておけば良かったと。行くか行かないかは置いといて。

 

そうですね。やっぱり合格っていう言葉の安心感がすごいなって思いましたね。昔は滑り止めって何?みたいな感じで思ってたんですけど、実際にやってみて、滑り止めは大事だなと。僕の場合は早慶、理科大が滑り止めだったんですけど、さらにその下も受けておくべきだったなって思います。

 

 

―そうですね、数学に配点が偏るところを受けたら全然行けたでしょうからね。

 

東工大は見事に適切だったんですけどね。ただどこかで聞いたことなんですけど、受ける大学のレベルは英語で決まって、合格するかどうかは数学で決まると。その通りだなって思いました。

 

 

―なるほど。東工大の英語はそれなりに解けたの。

 

自分の中では割と解けました。そもそも英語は苦手で、単語とかはずっと腐らずやって来たんですけど、単語が生きないんですよ、東工大は。全部長文なんで。だから2年間ぐらいは長文の問題集から毎日1つ2つ読んでましたね。最初は、河合の300語のやつとかあるじゃないですか。あれを2周して、全部和訳して、次に500やって700やって1000やって、その後東工大の過去問に入って、それをずっとやってました。

 

 

―それは早稲田の英語に生きましたか。

 

早稲田の英語には生きませんでした。(笑)

 

 

―早稲田の英語の過去問を解いたときはどうでしたか。

 

えっ、諦めようと思いました。

 

 

―そんな感じだったんですね。(笑)

 

あれは英語の知識だけでは解ききれないんですよ。全く意味が分からない英単語の意味を考えろっていうのとか、英語を使った謎解き問題みたいな感じなんですよ。

 

 

―わかります。

 

僕は英語の力が足りないからそもそも解けないみたいな感じで。

 

 

―実際受かってるんだけど、できた感触は無かったっていうことですか。

 

無いです。多分あれは本当に英語ができないと、実力差が開かないです。

 

 

―差がつかないから自分は目立たなかったっていう部分があると。

 

ですね。その分数学と理科は多分強く取れたと思うので。

 

 

―なるほど。そっちはまずまずできたんだね。

 

はい。数学は1題ミスがあったんですよ。僕はその問題に×をしてミスって書いたんで。

 

 

―出題ミスがあって、それを見抜いたっていうこと。

 

はい。

 

 

―すごいじゃないですか。時間取られなかったんですね、そっちに。

 

そうですね。それで多分数学はそこそこいい点じゃなかったかな、と思います。

 

 

―途中でわかったんですか。これ数字合わないとか。

 

関数を図示して面積を出す問題だったんですけど、その面積の問題が発散するんですよ。「面積を求めよ」なのに。

 

 

―発散ってどういうこと。

 

無限に面積が合っちゃうんです。それで、これは無限って書くべきか、そうじゃないかって思ったんですよ。でもそれを悩ませる時点で絶対違うなって思って。「面積を求めよ」で無限って求めるものじゃないじゃないですか。それでとりあえずミスって書きました。

 

 

―もうそれで受かったような気もしますね(笑)この人すごいなって。

 

―今日は貴重なお話をありがとうございました。

 

ありがとうございました。

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