山根詩央里さん
早稲田大学 商学部
洗足学園高校
―早稲田大学 商学部、合格おめでとうございます!
ありがとうございます。
―指定校推薦での早稲田大学合格、大変なことだと思います。洗足学園さんだと、学年でどのくらいの順位なら、早稲田の指定校とれるのですか?
洗足では、指定校枠がくると、その大学を第一志望に書いている生徒の中で選抜されます。ですので、自分より成績の良い人がいても、その人が別の大学を第一志望にしていれば、 ライバルにはなりません。文系なら、20番以内には入っていると安心かもしれません。
―早稲田の指定校は、複数枠があるのですか?
いくつかあると思いますが、1学部に1つはないくらいかと思います。
―進学校なのに、少なめ?ですね。学校では、一般受験を推奨していたりするのでしょう か?
そうですね、指定校決まったあとも、どうして推薦の道を選んだのかを聞かれました。推薦だと早い時期に合格をもらえるので、大学入学に向けてゆっくり準備ができると思うんです。ただ、一般受験する人たちの秋冬の追い込みでつく力は一生ものだよと、学校の先生方はおっしゃっていました。
―最初から指定校に絞っていたのですか?
いえ、指定校はどの大学・学部から来るかもわからないので、一般受験を目指していました。
―山根さんは、実は一般受験を見据えていたんですね。なぜ早稲田を目指されたんですか?
姉が通っているので、その安心感はありました。国公立は選択肢になく、最初から私大に絞っていました。私が入学してからも、オンライン授業は続くと思うのですが、早稲田では リアルタイムのオンライン授業システムが導入されていて、例えば課題も直接先生から受け取って、提出することができるんです。動画をただ流すだけでない授業があることと、対面での少人数の語学授業を受ける姉を見て、いいなと思いました。他大学の知人に聞いても、 そういったシステムは珍しいみたいで、その点でも早稲田に惹かれていました。
―早稲田のオンライン授業は、リアルタイムでやり取りできるのですね。
大学って今までより自由度が増すと思うので、そういった授業がないと性格的にサボってしまいそうで。ある程度の制約というか、遊びすぎないような環境がほしいなと・・・
―偉い!ちなみに、高校の評定はいくつでしたか?
4.8 です。
―おぉ!ということは、ほぼ5?
そうですね、高2のどこかの学期で一度だけ3がついてしまって、あとはほぼ5でした。
―すごいですね。洗足学園さんでその成績を維持するのはとても大変だと思うのですが、何か秘訣はありますか?
特別なことはしていなかったと思います。高1までは、授業を受けてその復習が基本です。 本当に苦手意識があるなら、予習したほうがいいのかもしれないですけど、私は予習までは できていませんでした。学校から家が遠かったことと、運動部だったので、普段は帰宅すると疲れて寝てしまって、宿題こなすのが精一杯でした。
―宿題はたくさん出ていましたか?
睡眠時間を削るほどどっさり出ていたわけではないけれど、宿題をきちんとやっていれば、授業内容は充分まかなえるという内容でした。テストの2週間前になると部活が無くなっ てテストが近いという実感もわいてくるので、そこからは切り替えて朝早く勉強したりしていました。
受付ラウンジ
―部活は何部でしたか?
バドミントン部です。週4くらいで活動していました。
―部活も頑張って、成績も良かったら、学校から国公立を勧められたりしたのでは?
面談では国公立を勧められていました。学校の方針としては、国公立を目指してほしいのだと思います。もちろん無理に目指させるのではなく、最初から選択肢として国公立を外さないよう示してくれていました。国公立受験のリスクもきちんと説明した上で、生徒の可能性を広げようとしてくれるのは、洗足の良さの一つだと思います。
―それでも、国公立は選択肢になかった?
自分の体力やメンタルを考えると、国公立は厳しいと思いました。国公立受験は、長期戦になるじゃないですか。受験スケジュールも私立も合わせるとぎっしり詰め込むことになり、体力的にリスキーだと思ったので、ある程度絞ったほうがいいなと。中学受験の時もへとへとになったので…。
―自分をきちんと分析できていますね。
ただ、私立を目指すからといって科目を絞ってしまうのではなく、全科目勉強した上で私 立を目指すことにしました。どちらにしろ、洗足では全員共通テストを受けるので。
―そうなんですか!ということは、5教科7科目勉強するというのが前提?
そうです。洗足生は私大志望でも共通テスト利用する人がほとんどです。学校としては、共テで GMARCHを確保して、早慶の一般に集中する、ということを理想としているようです。
―山根さんも共通テストは受験した?
早稲田大は、指定校が決まった人も共通テスト受験が必須なんです。
―え!そうなんですか!
科目は、英語・国語・数学だけですけど必須なんです。私ももちろん受験しました。ただコロナもあったので、結局必須の3教科のみ受けました。
―結果はどうでしたか?大学側にみられるのかな?
実は点数は、あまり良くなかったです。平均点を大幅に下回ると、指定校でも落ちてしまうという話も聞きますが、ある程度の点数を取って、名前を書き忘れたりしない限り大丈夫かと思います。商学部では数学も使うし、最後まで勉強してねという、大学側からのメッセージかなと思います。指定校がとれたあとも、小論文と面接があったりもしますので。
―小論文と面接があるのですか?
はい。小論文は必須で、その内容がテーマと大幅にずれていなければ、面接は免除になります。私も面接はありませんでした。
―小論文のテーマは覚えていますか?
小論文と言いつつ、会計学の記述問題のようなものでしたが、会計学に関する説明を読ん で簡単な利益計算の問題3問と、30字以内の記述問題を1問解き、最後に会計学の考え方 に関する 400字程度の記述問題がありました。
今までと傾向が変わっていたのですが、原田先生の予想がぴったりと当たっていたので、慌てずに解くことができました。
―指定校とったあとも気が抜けないですね。
そうですね、宿題もたくさん出ました。
―早稲田大というとマンモス校で、学生任せなイメージがありますが、意外と手厚く面倒見がいいのですね。
そう思います。人数が多い私大にしては珍しく、一人の先生につき2~3人で受けられる語 学の授業もあったりして、とても恵まれているなと感じます。最近は、英語に特に力を入れ ているみたいですね。
教室の様子
―早稲田大のイメージが少し変わりました!多くの学部がある中で、商学部を選んだ理由 を教えて頂けますか?
洗足のカリキュラムの一環で、高1のときに企業のインターンシップに参加するのですが、 自分に割り振られた企業が野村総合研究所でした。そこで経験させてもらったフィールド ワークが、商学に興味をもったきっかけです。
―そんな大きな企業でインターンシップを経験できるんですね。
はい。高2では全員が好きなテーマで研究論文を書きますが、商学に興味をもっていた流れでコンビニスイーツの企業戦略について書きました。実際にコンビニの社員の方に聞き取りをしながら執筆しました。
―その経験が、商学部指定校推薦合格に繋がったのですか?
高2の研究論文のテーマは、商学部志望理由と一貫しているなと思って頂けたかもしれません。高3で志望大学と志望理由を提出するのですが、そのために学外活動に力を入れる友達もいたけれど、私にはその時間がなかったので論文が良い材料となったと思います。
―早い段階で商学部やマーケティングなどに興味を持っていたからこそ、指定校の専攻や 大学を決めることができた面も大きかったと思います。学校の勉強に対する集中力という か一生懸命なところは小さいころからそうでしたか?
小学校はほとんど休まず、中高は皆勤で過ごすことができました。中高は駅まで母に送迎をしてもらっていたので、そのおかげもあるかとは思います。共働きのご家庭で、家事をこなしてから学校に来る友人もいた中で、自分は恵まれていたと思っています。
―ご両親に感謝ですね。小学校時代も、学校と受験を両立されていたんですね。
中学受験も、大学受験も、学校に毎日通った上で目指せる学校に行くというのを、目標にしていました。受験のために学校を休んだり、実力を超える学校を受験してみるというのも必要なことかもしれないけれど、私はそういうタイプではなかったので…。今も明確な将来像があるわけではなく、大学に入って広い世界を見て、専門的なことも学んで、そこで将来の目標を決めたいと思っています。まずは学校生活を一生懸命過ごして、その上で行くことができる大学に行きたいと考えていました。
―高校の評定が、まさにその強い気持ちの現われですね。メンタルは強いほうですか?
いえ、まったく(笑)緊張しますし、メンタルは弱いほうです。
―そうなんですね!それをどのように乗り越えて、テストで高得点を取り続けられたので すか?
悪い点数をとることへの、恐怖心を持ち続けたことでしょうか。
一度悪い点数をとると、それに慣れていってしまいそうで…。中学では良くなくても、高校から成績が上がる人がいますが、私には絶対できないと思いました。それが怖くて、点数は下がらないようにしていました。
―自分の性格をよく理解していらっしゃるんですね
あとは、緊張するということは努力した証だと自分に言い聞かせていました。頑張ったからこそ、力を発揮できるか不安になって緊張するんだと。だから、緊張するのは決してマイナスなことではないと、そう思うようにしていました。
―なるほど、確かにその通りかもしれませんね。 話は少し変わりますが、たくさん塾がある中で、一会塾を選んで頂いたきっかけは何でし ょうか?
姉が通っていたというのもありますが、少人数の塾がよかったんです。規模が大きいと、受け身になって埋もれてしまうと思い、中学受験のときも少人数制の塾に通っていました。あとは、学校とのバランスです。洗足は宿題が多いので、塾からもたくさんの課題が出されてしまうと、こなせないと思っていました。学校の状況や、自分のメンタルや体力、生活リズムに合わせてカリキュラムを組むことができたり、相談できたりする環境が良いと思い入塾しました。
自習室
―ありがとうございます。山根さんは高1から通塾していただいておりましたが、受験学年 のとき塾では何の授業を受講されていましたか?
全て個別授業で、原田友弘先生の国語、石井先生の英語、仲野先生の数学をとっていました。
―それぞれの授業についてお伺いしたいのですが、まず仲野先生の授業は、いかがでした か?
学校の数学は、国公立の問題が並ぶ難しい問題集を使用していて、難しいのに授業スピードも速くて大変でした。ですので、高2のときは定期テスト対策として、その問題集の分からない箇所をゆっくり解説してもらっていました。高3になってからは、数学を全て復習するために、分野別に自作のプリントを頂き、それを家で解いて授業で解説という形だったのですが、このプリントが素晴らしかったです。難易度は高めですが、良問ばかりで解きごたえがあって、でも毎回わからない問題もいくつか必ずあるという、すごくバランスのとれたプリントでした。良い問題集を自分で探すのはなかなか難しいので、本当に有難かったです。
数学科 仲野講師 ※↑写真をクリック
―ありがとうございます。原田友弘先生の授業は、いかがでしたか?
最初は先生の少人数の授業を受けていて、高3の夏期講習から個別に変更しました。指定校が決まるまでは、現代文と古文を習っていて、原田先生の自作のテキストを家で解いて授業で解説してもらっていました。
自分の答えに対して、「この部分から、こういう要素は拾わなかったの?」 など、解くための考え方やヒントを頂いて、個別ならではの授業をしてくださったと思います。集団授業だと、個別に自分の解答を解説してもらうことは難しいですよね。現代文は、特に記述力を鍛えて頂きましたが、個別授業だったからしっかり添削して頂けたのだと思います。
行動力のある人なら集団授業でも、先生に直接質問に行ったり添削をお願いしたりできると思うんですけど、私はそんなに積極的なタイプではないので、強制的に答えを見てもらえる環境が合っていました。
国語科 原田講師 ※↑写真をクリック
―個別授業を上手に活用しくださっていたんですね。古文も習っていましたか?
はい。原田先生の授業で、古文のイメージが大きく変わりました。それまでは、ひたすら単語を覚えて機械的に品詞分解する暗記科目のようなイメージだったんですけど、先生に古文の読解方法を教えて頂き、古文も読解問題なのだとわかると、現代文のように解けるようになりました。
―確かに、古文を論理的な文章として読解できている人は少ないかもしれませんね。指定校 決まってからも、授業を受けられていましたか?
指定校が決まったあとは、小論文を教わっていました。指定校通過後も大学側から小論文の テストが課せられていたのと、入学後は論文を書く機会が増えるからと、色々な大学入試の小論文問題を用意してくださって解いていました。
―ありがとうございます。石井先生の英語は、いかがでしたか?
高2の夏は早稲田商学部の過去問だけをひたすら解いていたので、自分で解いて分からな かったところを授業で解説して頂いていました。あとは、早稲田の他の学部まで手がまわらなかったので、石井先生に他学部の良問をピックアップして頂き、それを授業で解いて解説してもらっていました。
指定校が決まったあとは、大学から入学前の課題として受験するように言われているTOEIC対策に切り替えて頂き、お勧めの問題集を教えてもらったり、過去問を授業で解いたり、リスニングも音源を流して解説して頂きました。石井先生ご自身も頻繁に TOEIC を受験されているので、時間配分やマーク方法から、重要単語まで、実感のこもった授業をしてくださいました。
英語科 石井講師 ※↑写真をクリック
―どの先生も、山根さんの状況に合った授業をしてくれたんですね。
本当にその通りです。指定校が決まった後、数学は共通テスト対策に、国語は小論文対策に、 英語はTOEIC 対策にと、先生方がすぐに授業内容を切り替えてくださったことが何より有 難かったです。
―山根さんに合った方法で、とても上手に塾を活用してくれて嬉しいです。
母のおかげです。勉強しない私を心配した母に、大人数だとサボるから個別じゃなきゃダメだと言われていたので(苦笑)実際にその通りで、私は他人よりも、昔の自分と比較してやる気を出すタイプなので、競争相手がいる集団授業ではなく、過去の自分よりレベルが上がっていることを実感できる個別授業が合っていました。
―山根さんは、ご自身のの強みも弱点も、適確に理解していらっしゃいますね。今日のお話 は昔からの山根さんを見て来て、その点がさらに実感してしまいましたね(笑) とにかく自 分を持っていらして、初志貫徹を貫いた合格でしたね。まことにおめでとうございました。 最後に 指定校推薦を目指す受験生や、洗足学園の後輩にアドバイスを頂けますか?
指定校を狙おうと思いすぎないことが大事かと思います。洗足では、先生にもよるかもし れませんが、高 2 以降の定期テストはほぼ大学の過去問から出題されるんです。その時の 学力に応じた問題を選んではくれますが、授業の復習だけじゃ間に合わないこともありま す。独学で頑張っている子もいますが、塾に通っている子はやはり強いです。受験勉強が直接定期テストの点数に繋がるので。指定校のことだけを考えるよりも、一般受験も 視野に入れて勉強しているほうが、結果的に指定校獲得につながると思います。
―貴重なアドバイスありがとうございます。ちなみに、山根さんは、早稲田大学に入学した ら、何かやりたいことなどはありますか?
サークルはまだ決めていませんが、文化祭の運営スタッフに興味があります。ただ、自宅が遠いので、あまり夜遅くなってしまうと大変かな・・・あとは、何かしら運動はしたいと思っています。
―いいですね!キャンパスライフ、ぜひ楽しんでください!本日は貴重なお話、ありがとう ございました。
こちらこそ、今までありがとうございました。