藤原光希さん
高知大学 農林海洋科学部 農林資源環境科学科
東京都市大付属高校
2022年9月にインタビュー(2019年入学で、インタビュー時は4年生)
―お久しぶりです。卒業されて4年ほど、経ちます。随分と大人っぽくなられましたね。地方での大学生活に慣れていろんなご経験もされてコミュニケーション能力もかなり鍛えられたでしょうね・・・
ありがとうございます。1人暮らししたことが大きいかもしれないですね。
―そうですよね。(東京にいるときからすれば)ゼロから色んな苦労があったでしょうね。今日は時系列順に色々伺いたいと思いますので、よろしくお願いします。一会塾に入塾されたのって高2の最初ぐらいだったと思うのですが、その時のきっかけって覚えてますか。
きっかけは、もともと高校に入ってからは地元の個人塾に通っていたんですけど、(自分の成長につれて)あまり肌に合わなくなりました。だけど、自分は、大手ではなくてやはり(これまでと同じような)個人塾のような規模がそれほど大きくないところがいいなと思いながら探していた時に一会塾を見つけました。実際に体験してスタッフや先生方の人柄も良さそうだったので、決めました。
―東京都市大付属高校は今かなり偏差値も上がってきていて人気も出てきていますが、こちらには中学受験をされたのですか
そうです。中学受験の塾は、小1から小3まで四谷大塚に通っていて、小4から地元の(中学受験用の)個人塾に行っていました。
―通塾が、早かったんですね。それで見事、東京都市大付属に合格されて・・・そして中学時代を過ごして、高1からまで再び、個人塾に通ったと。それで高2から一会塾に来てくれたということですね。高3の時の受講科目は覚えていますか。
英語と数学と小論文ですね。
―国立文系狙いで、数学ⅠA・ⅡBを使って高知大学を受けていると。二次試験の受験科目は?
前期試験は、小論文のみです。
―なるほど、小論のみだったと。共通テストをクリアしたらあとは小論のみだったんですね。小論文は何が出たか覚えてますか。
農業のIOT化についてでした。
藤原さんが実際に受けた実物入試問題(クリックするとPDFが開きます)
―面白いですね。一会塾では小論文は何先生に習っていましたか。
宮園先生ですね。あと英語は山口じろう先生の個別指導を受けていました。自分は特に英語が苦手で危機感を持っていたのですが、お2人とも、自分のレベルに合わせていただき、とてもわかりやすかったのを覚えています。
↑小論文・面接指導 宮園講師
―それで、共通テストって何パーセントぐらい取ったか覚えていますか。
6割ぐらいだったと思います。でもデータリサーチではA判定でした。
―Aだったんですね。今だから聞くのだけど(笑)、勝因というか、60パーセントでなぜAが出たのかお分かりですか。
高知大学は共通テストでは、科目が英・数・国・理1科目の4科目でよくて(地歴・公民が無い)、その中で生物が8割ぐらいと結構よかったので、それでA判定が出たんだと思います。
★高知大学 農林海洋科学部の配点(2022年入試要項より)
―すごいじゃないですか。それで、あとは小論文だけだったと。小論文は個別指導だったのですか。
個別指導です。高知大に決めたのがセンターの後で、小論文なんてまったく知らない状態で、それで急いで勉強を始めて短期間で叩き込んだっていう感じです。
―(出願校として)高知大にはどのように行きついたんですか。
共通テスト(当時はセンター試験)の後、バーッて一気に判定が出るじゃないですか。自分はもともと農学系に行きたいというのがあって、判定を見ていたら高知大があって判定も良く出ていて、それでホームページを見てみたら、昆虫とかの研究が結構盛んに行われているということなどを見て、いいなと思いました。
―運命ですね。導かれていった感じですね(笑)農林海洋科学部 農林資源環境科学科。そこで昆虫と環境の研究をしているということですね。大学1年生の時を思い出してほしいんですけど、ずっと東京近郊に住んでいて、初めて外に出たと。市民性だったり文化だったり、何かカルチャーショックはありましたか。
そうですね、まず市民性で言うと、東京の人はいかに他人に無関心になれるかみたいなところがあるじゃないですか。満員電車とかでも変な人がいたら徹底的に無視みたいな。(笑)逆に高知の人は、人と話したいみたいなオーラがあって、釣りをしていたらおじいちゃんおばあちゃんが話しかけてきたりとか、頑張ってねって言ってお饅頭をくれたりとか。そういう優しい気さくな県民性があるのかなって思います。
―癒されるね。出身地はどちらかというと関西が多いようなイメージだけど、東京から来ていることでチヤホヤされたとか、そういうのってありましたか。(笑)
サークルの新入生歓迎会にいくつか行ったんですけど、自己紹介で東京出身というたびに必ず 「シティボーイ」って言われました。
―シティボーイ!(笑)
言われるんですよ、絶対に。(笑)なのでわりとチヤホヤされたかもしれないですね。
―高知弁って関西弁に近いのかな。
似てもいるんですけど、土佐弁は結構独自な感じもあります。「~しちゅうき」「~しゆうろ」とか。
―全然影響されてないですね。方言は喋れないの。
はい、結構難しいので。
―高知近郊から来ている方は全体の半分ぐらいですか。イメージでOKです。
イメージだと、いないですね。
―いない!じゃあ全国から集まってきている感じですか。
はい、農学部は特にそうだと思います。農林海洋科学部は 1学年全体で、200人ぐらいです。その中で自分の学科(農林資源環境科学科)は90人ですね。
―農林資源環境科学科は、そこからまた4つの領域に分かれていて、藤原さんは自然環境学領域で研究室に所属していて、その研究室の先生の専門は何でしたか。
生態学です。この先生についていって、自分は、大学院まで行くことにしました。
―ところで高知大学はキャンパスはいくつあるんですか。
朝倉キャンパス、岡豊(「おこう」と読む)キャンパス、物部(ものべ)キャンパスの3つです。僕が行っている農林海
洋科学部は物部キャンパスです。医学部は岡豊キャンパスです。
―農林海洋科学部というのは、農学+海洋について学ぶ、そういう感じですよね。じゃあ生物とか生態系とか、そういうのが大好きな人が集まっていて、獣医学科は無いんですね。牛とかはいない?
牛はいます。畜産とかもできるので、キャンパス内に牛小屋があって、結構研究室でもモウモウモウモウ聞こえてきます(笑)
―こないだ鹿児島大学の生徒さんに聞いたら、日本酒の授業があって、酒豪が多い鹿児島ならではだねという話をしていたんですけど、高知大学は高知独特の授業みたいなものはありますか。
地元的な授業で言うと、「高知城はなぜ出来たのか」みたいな授業はあった気がします。あと、何の授業だったかは忘れたんですけど、やっぱり高知県も酒豪が多いので、お酒の消費量が多いっていうことと、ギャンブル好きも多いので、みなさんは気を付けましょうみたいなトピックはあったと思います。
高知城(撮影 藤原さん 以下同様)
高知城からの風景
―なるほど。物価はどうですか。ちょっと安いぐらい。
スーパーとかに行くと普通の商品は若干高いような気がしますけど、地元の農家さんが作った野菜とか結構たくさん売
っていて、それらは結構安かったりします。あとは海の幸が豊かなので、特に鰹(かつお)とかは安い値段でいっぱい置いてますし、クジラとかシーラとか東京では見ないような海産物が普通に売られていて面白いです。
―家賃相場はどれぐらいですか。
10畳1ルームで4万5千円です。自分は、1年次は学生専用マンションで朝晩ごはんが付いているところがあって、そこに入っていました。1年の時は朝倉キャンパスだったんですけど、2年からは物部に変わったので、引っ越して改めて1人暮らしを始めたという感じです。
―なるほどなるほど。それで、今継続してそこに住んでいると。大学院もこのまま同じ場所にお住まいになる予定ですか。
はい。
―では、今度は高知での娯楽について教えてください。さっき、釣りに行くという話がありましたけど、どういう所に行くんですか。
柏島(かしわじま)です。すごい綺麗なところなんです。
―デートスポットだったりしますか?(笑)
デートスポットでもあると思いますけど、ダイビングとかシュノーケルスポットです。観光客も夏のハイシーズンとかは結構多い感じすが、地元の方にしか知られていないと思います。普段はあまりいないですね。
柏島の風景
柏島近郊
―だいたい高地に行ったら高知城行って、桂浜行って坂本龍馬見てっていうイメージですけど、柏島っていうのは初めて聞きました。
海好きとかじゃないとあまり知らないと思います。あと、遠いので。市内から3時間以上かかります。
桂浜風景
坂本竜馬像
―海に釣り場があるんですか?。
釣り場というか、google map見て、ここが良さそうだなっていうのを自分で見つけて、山を分け入って、崖を下って、磯で釣りをするみたいなアドベンチャーをやっています(笑)。何でそこに行くかというと、沖縄で釣れるような魚が釣れるんですよ。熱帯魚みたいな。あの辺りに黒潮が直撃していて、黒潮に乗って南の魚とかが結構来るので、そういうのが面白くてよく行っていますね。
柏島の風景
―釣り仲間はいるんですか。
僕、一応釣りサークルの副部長なんです。
―そうなんですね!それはそれは失礼しました(笑)
いえいえ(笑)始めたきっかけは、川で釣りをしていたら、その釣りサークルの先輩に話しかけられて、全然釣れないなーて言いながらやってたんですけど、その先輩のアドバイスを聞いたらほんとうによく釣れて、すごいな、面白いなって思って、そのサークルに入ることになったんです。
―東京にいるときは釣りとは無縁だったの。
無縁というわけでもなくて、1年に1回ぐらい餌釣りに行くような感じで。
―昔は子ども達って結構釣りをやっていて、親に仕込まれたりもしたけど、関東では釣りについてはあまり聞いたことが無かったので、懐かしい感じがしますね。大学1年からサークルで釣りをやっていると・・・山に分け入ったりして危険は無いのですか。
危険は結構あります。判断をミスると命の危険に合うようなことも。ただ、磯靴であったり、ライフジャケットであったり、装備はきちんとして活動しています。
栢島近郊での釣りの風景
―なるほど。ところでご出身の東京都市大付属高校で、高校の友達や、上の学年、下の学年で高地に行った人っていますか。
いないですね。先生にも「君が初めてだよ」みたいに言われました。
―そして、大学院進学を決めて。就職活動もしていたから、進学か、就職かで迷っていたりしたのですか。
自分的には、大学院1本で行こうって決めていたんですけど、周りの大人の人からのススメもあって、大学院に進んでも
どうせ就職活動はするんだから大事な学部卒の段階でも就活を経験しておいた方がいいんじゃないかと言われて。それ
で、ちょっと企業さんには申し訳なかったのですが、就活もさせてもらいました。そしたら、自分でも名前を知っているよう
な有名な企業からも内定がもらえて、一応結果が出たので、自信がついて良い経験にもなりました。
―就活ではどのような業種を受けられましたか。
食品系と環境アセスメント系です。
―なるほど、今、学ばれていることとぴったりとマッチングしていて、理系ならではって感じの就職活動ですね。あらためて高知の良さとか、高知で就職するメリットなどはどのように感じていますか?
やっぱり人柄と周りの環境ですね。人柄で言うと、さっきもお話ししたように、優しい気さくな人柄が多くて、環境で言うと、自然好きには高知をお勧めしたいなと思いますね。川も仁淀川(「によどがわ」)という水質日本一の川があったり、海も先ほどお話した柏島(「かしわじま」)っていう沖縄並みに綺麗なところがあったり、山も。高知は88パーセントが山なんですよ。
仁淀川 にこ淵
仁淀川 安居溪谷
―山も海も川も揃っていると。自然好きの人にはたまらないですね。
はい。生き物が本当に何でもいるなっていう感じです。
―何か都会では珍しいような動植物には出会ったんですか。(笑)
何と出会ったって言うともうきりがないんですけど、イノシシとか狸、ハクビシンなんかは夜、走っていると普通に出てくるし、
昆虫とかも、クワガタ、カブトムシは家に飛んできたりしますし。釣りで言うと、僕は最近大物志向にちょっとなってるんですけど、船で船頭さんに案内してもらってマグロを釣りに行ったりしていています・・・・・
―えー!?マグロ釣りに行くんですか。実際に釣れるのですか。
僕は釣れました。120センチぐらいで20キロぐらいのものですね。
―それどうしたんですか。
食べました。家に持って帰って、睡魔と闘いながらさばいて、全部冷凍して。
ーすごいね!川釣りもするんですか。
はい。川で言ったら、アカメっていう淡水魚がいるんですけど、絶滅危惧種で。高知県は結構自然が残されているんで、貴重な生き物が残ってたりするようなイメージはあります。
―なるほど。素晴らしいですね。今日は、ほんとうにありがとうございました。高知での充実した、生活の様子をお聞きして、何かとても刺激を受けました。きっと地方もいいなって思っている高校生の大いに参考になるかと思います。
はい。こちらこそ、ありがとうございました。一会塾の生徒さんたちにも、夢に向かって「頑張ってください!」とお伝えください。