森佑花さん
明治大学 文学部 心理社会学科 臨床心理専攻
鎌倉女学院高校
※インタビューは大学3年の4月に行いました。
―佑花さんは一会塾にはいつ頃入塾されましたか。
高2の冬、部活を引退した頃です。
―高校は鎌倉女学院でしたよね。それで先輩が一会塾にいて、来てくださったんでしたっけ。
そうです。たまたま体験授業に来た日に、部活の2つ上の先輩がインターンでいらっしゃって、それも入塾のきっかけの1つです。
―ちょっと親近感が湧いたということがあったと。だけど当時から一会塾は理系色が強かったと思いますが、その辺りは不安は無かったですか。
そこはめちゃめちゃ不安だったんですけど。(笑)
―やっぱり。(笑)
医学部って書いてあるし、理系には行かないんだけどなーとは思ったんですけど。(笑)ただ当時は、公募の推薦の対策もしていただきたくて、それと一般受験の勉強が両立できる塾を探していたので、それができるということで一会塾に来ました。
―なるほど。じゃあ実際入ってみて、例えば国語のクラスとか、文系のクラスはそれで全部みたいな感じでしたよね。それでもなんとかなりましたか。
大丈夫でした。
―現代文・古文と英語と、あとは日本史の演習を取っていたんですよね。それで推薦を受けつつ、明治大学を受けられたわけですが、心理専攻を選んだ経緯というのは。
森佑花さんが信頼を寄せていた国語科 原田友弘講師 ↑詳細はこちらをクリック
森佑花さんが受講していた演習日本史 佐藤一郎講師
中学3年生の社会科の授業でホロコーストの映像を見る時間がありまして、そこで人類の負の歴史みたいなものに触れて、人間の負の感情っていうのはどういうメカニズムなんだろうと思ったことが最初に心理に興味を持ったきっかけです。
―強烈ですね。鎌女(鎌倉女学院)では中3にホロコーストを見せる。
はい。授業というよりは総合学習の一環で、当時の社会科の先生が映像を用意してくださって、ナチスドイツとかルワンダの話を。見たい人は見て、見たくない人は見なくていいよという感じでした。
―なるほど。森さんはそれを見て衝撃を受けたと。人間はなんでこんなことをするんだろうと。
そうですね。それで犯罪とか、平和とか、そういう分野に興味を持つようになりました。
―だけど中3だから、まだまだ大学の学部とかにまでは考えは及んでないですよね。
中3の時の得意科目が数学で、理系に行こうと思っていたんですよ。
―そうなんですね。
精神科医になりたくて、医学部を考えて、高1の時に横浜市立大学の医学部のオープンキャンパスに行って・・・あきらめました。(笑)
―えっ(笑)、それはどうして。
英語に苦手意識を持ち始めた時期で、あそこは医学系の話も英語でしなきゃいけなかったり、留学も多いですし。他の大学の医学部も考えたりしたんですけど、医学部なら国公立じゃないと学費的に厳しいというところもあって、ちょっと無理だなと。それでその時は、精神科医がだめならカウンセラーになろうかなと思いました。まあでも、現在進行形で進路希望はどんどん変わっているんですけど。(笑)
―なるほど。それで高2の冬に一会塾に来てくれたわけですが、それまでは学校だけの生活だったんですか。
1度大手予備校の特別講習みたいなのに行ったことはあるんですけど、それは物足りなくて、寝てしまいました。合わないなと。それぐらいですね。
―それで、少人数で先生が目の前で授業をやってくれる方がいいなと思って来てくれたんですかね。
はい。
―ありがとうございます。それで、心理学科を受けるのは、医学部医学科を受けるのと同じぐらい定員は少ないし、好きな人は決まっているし、競争が激しいと思うんですよ。だから進路指導上は、心理学科だけ受ける人を見たら、もうちょっと色んな学部も受けた方がいいよと心配にはなるんです。その辺りに関しては、不安があったとか、受けるときにバリエーションを付けたとか、どんな感じでしたか。
1つ以外は全部心理です。
―すごい。
大学に行くにあたって、何となく大学に行くよりも、明確な目的を持って勉強をするために大学に行こうというのは決めていて。だったら、大学名ブランドではなく自分のやりたいところだけを攻めていこうと、心理以外はほとんど選ばずに受けました。だけどさすがにセンターの時に不安になって、一会塾のスタッフの方や親と相談して、立教のコミュニティ福祉だけ入れました。
―なるほど。センター利用(現共通テスト)でコミュニティ福祉を入れたんですね。それまた難しいところを入れましたね。(笑)
英語が資格試験の点数をそのまま使えるということで、TEAPを使ったんですよ。
―TEAPを受けていたんですね。
はい。それで8.9割保証だったので、本番コケても大丈夫っていう。
―なるほど。そしてまあ、見事明治の心理に合格されまして、これまでの2年間を振り返って、どんな心理学科生生活でしたか。授業のこととか忙しさとかを教えて頂けますか。
1年生の時はコロナで本当に数えられるぐらいしか大学に行っていないんです。ただ他の大学に比べると、オンラインで専門的な授業とかは結構がっつりとやったのかなとは思います。なかなか過酷ではありました。きっと先生方も慣れていなくて、適切な課題の量とかが見えていない状態の中、春学期はとにかく課題に追われてパソコンに張り付いている感じでした。
―心理の専門科目というのはイメージが湧かないんですけど、タイトルと内容を1~2個ぐらい挙げていただけますか。
1年生の時に辛かった科目としては、「臨床心理学概論」というものと、「教育学校心理学」というのがありました。
―じゃあ、1つずつ。
「臨床心理学概論」は心理学全般の話をするんですけど、1年の時から「BPSモデル」っていう生物・心理・社会モデルっていう心理学の中でよく使われる体系の用語をいうのを一番最初にどんと出されて、これについて考察しましょうと。裏表10枚くらいのPDFファイルと一緒に『これ読んで、まとめて説明してください』という課題が一番最初に出されて、みんなてんやわんやでした。
―参考文献だけ出して、読んでディスカッションしてくださいみたいな?
普通にレポートとして出す感じで、どんどん課題が溜まっていく…。
―ああ、いわゆる大きな大学にありがちな、ムチャぶりする授業ですね。
すごかったです。あれは。あ、でもレポート課題以外にオンラインディスカッションの課題とかもありましたね。
―「BPS」というのは専門用語?
そうです。「Bio- Psycho- Social model」。
―それらが心理学の周辺学問体系ということですか?
心理学の、アセスメント(評価)や分析するにあたって使うモデルです。
―それで何とかレポートは書けましたか?
初回は先生もみんなができないと分かっていて、10回目の授業の時に「あなたはこういうことを書きましたけど、今 色々学んでからもう一度同じ課題をやってみて、その上で自分の成長具合を分析してください」っていう課題がありました。
―ははははは、そういう手法だったんですね。
そうなんでしょうね。でもやっぱり学生にとって負担が大きかったというのは先生も後で話されていて、謝られました。(笑) 本当にフィードバックが好きな大学なので、半期毎に授業ごとのアンケートをするんです。こういうところがよくて、こういうところがダメだったから、こういう風にしてくださいというもので、改善点をよく取り入れてますね。
―なるほど。明治大学がバブルのころのイメージとは変わって、今、だんだんと高校生に人気が出てきているのは、そういった(マンモス大学だの割に)、細かい気遣い(アンケート)をとったりするところも影響しているんでしょうね。ちょっとマニアックな質問だけど、そのアンケートは何で取るんですか?
大学の生徒用のホームパージで、アンケートというのが1科目ずつ、あとは全体で1つ来ます。
―じゃあ、それが集計されて先生のところに行くんですね。
先生にも、大学側にも行きます。それで秋学期はZoomが嫌だったという意見が出たので減りました。
―Zoomの講座が多くて?
もしオンラインでやるなら、自分のオンデマンド授業のほうが好きなタイミングに聴けるから、リアルタイムはやめてほしいという意見が多くて、Zoomはほぼ無くなりました。
―そうなんですね!生徒の意見を飲む訳ですね。それはすごい!!
割と学生の声の力が大きい大学ですね。
―それは印象が違いましたね。だから明治大学は人気を集めてきているんですね。フィードバックがちゃんとなされて、進化しているんですね。
―では。もう1個の科目について教えていただけますか?
「教育学校心理学」というのは、学校カウンセラーの話を中心に、学校の人間関係の実態を分析して、いじめとか不登校の問題をどう捉えていくかということをやります。
―ほー、それは面白そうですね。
面白かったです。今その先生のゼミに入っているんですけど。
―組織としてどこでもいじめに陥りがちだけど、そういったものを勉強する学問科目があるんですね。
専門範囲が結構広い先生なので、そこ以外にも色々ありますが、秋には学校に実習としてボランティアに行くこともあります。
―では、明治の語学の話を個人的にお聞きしたいんですが。英語+第2外国語ですか?
はい、2年間。
―一般的に語学の勉強は単位を落としやすいんですが、いかがでしたか?
いやあ、大変でした。2ガイ(第2外国語)が特に。
―大変ですよね!
英語は入った時に希望が聞かれます。私たちの代は対面テストをしてクラスを振り分けることができなかったので、1年の時に英検とかの資格と希望のクラスを聞かれて、クラス分けがされました。それで、私は真ん中でした。2年生の時はTOEICを受けて成績順にクラス分けして、それも真ん中でした。
―英語は受験でも勉強したし、それなりに時間もかければ単位も取れますよね。2ガイは何を取ってましたか?
ドイツ語です。
―また、大変な科目ですね。
1年生の時はオンデマンドとZoom授業で、テストの時も何でも見ていいよという感じで余裕だったんですよ。でも、2年でいきなり対面になって基礎はできてるよね、ということで授業が進められたので本当に大変でした。
―そうでしたか。単位落とすってこともあるんですか?
あります、あります。サークルの先輩に気をつけろと釘を刺されていました。(笑)
―でも1個落としたくらいじゃ留年はしませんよね。
留年は大丈夫です。
―1、2年の語学の話はこのくらいで、専門科目は?
2年生になって少し追加されます。でも必修の専門以外は、1・2年次で取れる専門科目、という風にうちはなっていますね。
―4年制大学で、1・2年と3・4年と仕組みががらっと変わるような気もしますが、どう変わりましたか?
まず校舎が変わります。和泉校舎から駿河台校舎に変わりました。
―がらっと変わりますね。すみません、和泉キャンパスには何学部がありましたか?
文学部・経営学部・法学部・商学部・政治経済学部・情報コミュニケーション学部かな。
―すごい。文系の1・2年が行くんですね。
あとは生田キャンパスが農学と理工学部で、中野キャンパスは…国際日本学部と総合数理学部があります。
明治大学のキャンパス
生田キャンパス・・・農学と理工学部
中野キャンパス・・・国際日本学部と総合数理学部
和泉キャンパス・・・文学部・経営学部・法学部・商学部・政治経済学部・情報コミュニケーション学部
駿河台(お茶の水)キャンパス・・・和泉キャンパスの学部の3,4年生が通う
―思い出しました。確か中野キャンパスは尾関君が卒業したところですね。大きい大学だから、キャンパスも広いんでしょうね。今の駿河台キャンパスも広いですか?
縦に広いザ・タワーです。周辺にも色々設備を持っていて、全部足すときっとかなり広いです。
―あの地上23階建てのリバティタワーに通い始めたんですね。噂によると女子トイレに化粧台がついているとか?
はい、付いています(笑)1階のトイレだけですけど。
明治大学 公式 リバティタワーの様子をこちら
―そうなんですね。リバティタワーもキレイで女子にも人気でしょうね。環境は良くなりましたか?
いや、皆和泉のほうが好きって言ってます。
―やっぱり愛着があるんですかね。
図書館は和泉のほうが充実してますし、駿河台は教室移動が縦なんです。エスカレーターやエレベーターはあるんですけど、それでも2階→11階、11階→6階という感じで結構大変です。
―ビジネス街ですよね。周辺には色々な大学がひしめいているし、飲食店が沢山ありあますよね。
周辺は確かに楽しいです。
―友達関係を築くのに、コロナの影響はありましたか?
私のクラスは1年の時からクラスZoomみたいなのが積極的にありました。結構参加しているほうだったのと、少人数の基礎演習のクラスもあったので、友達作りには困りませんでした。
―4月で3年生になったばかりで、オリエンテーション期間はあったんですか?
いえ、普通に授業です。
―では3年生になってからの授業や学生生活を教えていただけますか?ほぼ専門科目になっていますか?
ほぼ専門になっています。3年になって、心理学を目指してからずっとやりたかった「司法・犯罪心理学」の授業が始まりました。症例を使って、非行や犯罪のメカニズムを探っていくものです。ずっと取りたかった授業なので嬉しいです。
―先生はどんな方なんですか?ベテランの方なんでしょうね、きっと。
家裁調査官などをやっていらした先生です。しかも、授業では私が司法・犯罪心理学系で好きな先生で、プロファイリングのプロフェショナルが書かれたテキストを扱っているので、とてもコアな内容が学べそうで楽しみです。
―その分野で好きな先生がいるんですね!?
はい、法政大学の先生です。
―1回目の授業が終わったところですか?
2回終わったところです。
―どんな内容ですか?
今はさっきお話した「BPSモデル」から犯罪のメカニズムを探る概論的なことをざっくり紹介されていて、今週は生物学的要因、来週は心理学的な要因、再来週は社会学的な要因をやって、それから犯罪の環境要因をやります。さらにそこからは性犯罪や、暴力犯罪など、種類別に1つずつやっていきます。
―それは面白そうですね!森さんの個人の見解では、人間が犯罪を犯す原因は生物学的な、心理社会学的面、どちらの割合が多いと思います?
社会学的な要因が一番大きいと思います。
―生まれつきに暴力的な犯罪を犯すという訳ではなくて?
生まれ持った性質や障害疾患も1つの要因だとは思いますが、最終的に犯罪を行動選択として後押ししてしまうのは、やはり周りの環境や社会の要因が大きいと思いますね。
―すべての人間は更生の可能性があるというお立場ですね。すばらしい!心理学と医学的な分野の関わりはどうなんでしょう?
実は医学的な授業も結構多くて。1・2年のときもあったんですが、3年になって「神経・生理心理学」というのをやっています。脳の構造の話をします。(脳メカニズムの資料を見ながら)
―以前から取りたかった授業を受けていたり、また違う観点から心理につながる多岐にわたるものを受けているんですね。他には何かありますか?
「臨床心理学演習」というゼミに入ったんです。ゼミが全部で5種類あります。
―ゼミの種類が5種類?
はい。うちの専攻は、ゼミは希望制です。最初に希望を出すんですが、卒論のテーマとかこういう研究をしたいというのを書いて提出するんですね。それで人数が多い場合は、その内容を見てよりふさわしい人を選ぶという感じで振り分けます。
―卒論は書いても、書かなくてもいい?
卒論は必修です。
―卒論は必修なんですね。卒論を書くためのゼミなんですよね。テーマはこれから考えましょうじゃなくて、いきなり振られるんですね!
振られましたね。ある程度こういうことをやりたいと。
―どうですか?周りの方は森さんと同じように、興味関心は決まっている人が多いんでしょうか?
うちのゼミは割と緩いですかね。
―でも結構テーマがハードですよね?
明治自体が心理学を専門職としてやりたくて入ってくる人は、クラスでも10人くらいしかいないんです。
―心理社会学科は全体は何人くらいいるんですか?
臨床心理学専攻以外は心理学の授業は取れるけど、専門ではやらないです。現代社会学専攻は社会学の話なのでジェンダーとか、哲学はあまりよく知らないです。(笑)
―心理社会学科の中でも、心理学を突き詰めるのは臨床心理学だけということですね。
うちだけです。資格が取れるので。
―資格が取れるんですね。ということは入試の難易度も高いですね。
倍率は私が受けた年は、文系学部の中では一番高かったです。8.7とか。
―で、この専攻をする人は何人。
その中で公認心理士の資格を目指す人が、どこの学年でも10人前後です。
―何人中の10人。
50人ぐらいです。
―じゃあ専攻だけでとると、1クラス分ちょっとプラスぐらいの人数ですかね。それが一堂に会する授業ってあるんですか。
割といっぱいあります。
―やっぱりその単位で授業が組まれるわけなんですね。じゃあ結構みんな仲良くなれる感じですか。
そうですね、グループは分かれていますけど。
―やっぱりそういうものか。そういうの勉強してますしね。(笑)
そうですね。(笑)
―で、5種類のゼミがあって、先生の名前でわかれているんですよね。それでみんな各先生の専門を見て、興味のある所へ入っていくと。
そうです。先生が一応説明会みたいなのもやってくれて。
―なるほど。森さんが今のゼミを選んだポイントは。
ポイントは、私は子ども系の話をやりたいと思っていて、ただ、やりたいことがある中でもそれってどんどん変わっていくと思うので、テーマが絞られているよりもある程度範囲が広い自由なゼミに行きたいと思ったのがまず1つです。あとは、そのゼミの先生が家裁調査官をやっていらっしゃった方で、そっちの進路に興味があるということと、大学院の進学についても相談に乗ってくれそうというので。
―そうか。自分の将来とかこの先を見据えて選んだということですね。じゃあ50人の人たちが5個のゼミに振り分けられるから、大体10人ぐらいずつだとちょうどいいなという想定ですね。あるゼミに人気が集中して多くなり過ぎたりっていうことはあるんですか。
ありました。第一志望の人が多すぎてっていうのと、第一志望の人が少なすぎてっていうので、第二志望で振り分けられた人も結構いました。
―そうなりますよね。それで、ゼミは今スタートしたところっていう感じですよね。じゃあちょっと資格の話を教えていただきたいんですが。普通は、臨床心理学専攻だったら臨床心理士になるっていうイメージなんですが、新しい資格ができたんですよね。なんていう資格でしたっけ。
公認心理師です。
―この専攻を出た人は、臨床心理士と公認心理師の2つを取るんですか。それともどちらか一方。
片方だけでも取れるんですけど、基本は両方取った方がいいとされています。
―ほお。で、その資格を取るぞと堅く決意している人は50人の中でも10人ぐらいだと。それはやっぱりしんどいからですかね。
そうですね。しんどいからっていうのと、その専門の職っていうのがまだまだ人数が少ないので、資格を取ってもその職に就くのが大変だからっていうのもあると思います。
―且つ、どっちの資格を取るにも大学院を出なければいけない。
そうなんですよね。
―これが一番大きいですよね。それで、大学院に行ったからには2つ取っておこうという感じですかね。この2つの資格のそれぞれの役割ってどうなっているんですか。
ずっと、心理の専門職に必要とされてきたのが臨床心理士という資格なんですけれども、それは民間が作った資格で、最近できた公認心理師というのは、心理分野で初の正式な国家資格として浸透し始めています。その試験が始まってから今で4年ぐらいなんですけど、大学の先生方とか臨床心理士を取っていらっしゃった方は、基本的にみんな流れで受験して、今は公認心理師も持っていますよっていうのが多いと思います。
―まずは専門家が取りに行ったということですね。
そうですね。そこからどんどん広めていこうという感じだと思います。
―改めてその2つの資格の中身の違いなんですけど、臨床心理士はこんなところに勤めて、公認心理士はこういうところを想定しているっていうあたりを説明していただけますか。
大学の先生とかに話を聞くと、やることとか実態はそんなに変わらないっておっしゃってるんですけど、大きな違いは、公認心理師の資格を取ると、医師などの他の職種の方と連携しながら治療に携わることができるというところだそうです。そんな感じで、医療機関での勤務形態に差があるそうです。
―なるほど。臨床心理士の方は、カウンセラーとかになるのかな。
そうですね。臨床心理士の資格を持っていると、病院勤務の産業カウンセラーだったり、学校のカウンセラーとかになる道があります。
―では公認心理士の資格を取ると、治療にあたれる可能性が出てくるだろうと。まだできて2年だからまだ誰もいない分野ですよね。
すでに資格を持っている方は沢山いらっしゃると思うんですけど、制度が始まってから大学、大学院のカリキュラムを受けてから公認心理師を取得した第がまだいないので。実際にその運用がどういう幅で広がっていくのかっていうのは今後ですね。
―森さんはもう3年生だから、普通だったら今年就職活動の準備っていうところですよね。それはしない予定なんですね。
しないです。
―じゃあ大学院に行かれて、5年から6年生に変わるぐらいの時に就職活動ですかね。
そうですね、多分。インターンとかは今年何個か行こうと思っているところはあるんですけど。
―へぇー。心理専攻の人が行くインターンってどういうところがあるんですか。
人それぞれだとは思うんですけど、私がこないだオンラインで説明を聞いたのは、家裁調査官と警視庁鑑識、あと今応募しようと思っているのは法務省の少年鑑別所です。ここ数年で『ケーキの切れない非行少年たち』っていう本が流行ったんですけど、少年院に携わっていたこともある児童精神科医の先生が、生物学的要因を中心に少年犯罪や非行についての分析を書いたもので。
―そういうことも研究されているんですね。
でも一番は科捜研に行きたいんです。その中にも心理の専門職の枠があって。ただ毎年募集があるわけではない限られた枠なので、ちょっと厳しいかなと。
―社会の需要とニーズがあって初めて仕事は成り立ちますからね。そっか、じゃあ大学院に行く人は、イコール資格を取りたい人ということですね。その他の人は、臨床心理専攻でも一般に就職するということですね。
―今は、履修科目以外では大学生活はどんな感じですか。
サークルに入っている人は、今は新歓期間なので結構忙しいと思います。私はやめちゃったので、課外活動的なものは今はないです。
―じゃあアルバイトと授業と。アルバイトは学童でしたっけ。
そうです。
―やっぱり子どもに関わるのが好きなんですね。
一会塾で、大学受験の公募の志望理由書を書いている時に、自分の幼少期の体験から、子どもとその家族の支援をやりたい気持ちが強くなって、そこから何かしらの形で子どもに携わる職に就きたいなって思ったんです。もともとは子どもが嫌いだったんですよ。(笑)
―あっそうなの。
それを半ば矯正するために学童のバイトを始めました。
―子どもが嫌いというのは、勝手気ままだからというところ。
話が通じないみたいな。(笑)でも2年やって大分考えが変わったかなと思います。
―えらいですね。嫌いなところを改善しようと。
はい、今は全然かわいいですね。進級するときにその成長を目の当たりにしたときは本当に感動しました。
―じゃあ最後になりますが、心理を目指す人に向けて受験的アドバイスをお願いできますか。学校選びはどうされましたか。
同じ心理学を扱っていても大学ごとに色々あって、例えば公認心理士のプログラムに参加していないと、心理学部を出たとしても受験資格を得られない大学も結構たくさんあるので、私はまず資格が取れるか取れないかというところを見ました。そこから、どういう分野の心理学を扱っているのか。例えば慶応だと実験系の心理学が多くて、その分臨床とかの分野が弱くなってしまうというのがあったり、早稲田だと心理学を扱っている学部が全部で3つぐらいあるんですけど、人間科学、文学部、教育学部で分かれていたり。バラけてしまうのも範囲が狭まるなと私は感じて、それよりも中に入って全部をやってから自分の専門を決めたかったので、心理学の全部を扱っている学部のある大学に行こうと思って残ったうちの1つが明治の心理だったんです。
―なるほど、これはためになります。他にも全部を扱っている大学というのはあったんですか。
私立だと、上智と、多分青山学院も。あと立教大学はキャンパスが独立していて少し遠いんですけど、その分設備がいいっていう話は聞きます。
―そうですか。そういうトータルでできるところを探して、最終的に明治の心理社会学科に行き着いたわけですね。そこまで考えて受けている人はなかなかいないと思います。
私が一人で考えたわけではなく、結構周りの助言や支援が大きかったと思います。ありがたいことですね。
―そっかそっか。わかりました。今日はありがとうございました。
ありがとうございました。