この体験記は、2024年12月末までの限定公開の予定です
Q1. 小中高のバックグラウンドについて教えてください。
私は中国で生まれ、12歳まで現地校に通っていました。小学校時代は現地校の国際部に所属し、授業は半分中国語、半分英語で行われていました。この環境で、自然と英語力を養うことができ、ネイティブの先生との対話を通じて、コミュニケーション力も高めることができました。日本語については小学校の頃から学び始め、最初は土曜学校(補修校)に通っていました。中学校に上がる際には、日本語力を強化するために個別塾にも通い、国語の授業を受けていました。
上海では小学校が5年生までだったため、卒業後は台湾系のIBスクールを受験し、合格して3か月ほど在籍しました。しかし、親の仕事の都合で日本に本帰国することとなり、その後は関西学院大阪インターナショナルスクールに編入し、MYPとDPのプログラムを修了して12年生で卒業しました。
Q2. 医師になろうと思ったきっかけは?
私が医師を目指すようになったきっかけは、母の仕事環境の影響です。母は中医療に関わる仕事をしており、幼少期から栄養士や整体師など、健康に携わる方々と接する機会が多くありました。そのため、自然と医療分野に興味を持つようになり、中学校に入る頃には漠然と医師になりたいと考えるようになりました。また、日本でバカロレア入試が普及しつつあると聞き、自分も挑戦してみたいと思ったことが医学部を目指す大きなきっかけとなりました。
Q.3 高校生活について教えてください。
私が通っていた関西学院大阪インターナショナルスクール(OIS)は、関西学院千里国際中等部・高等部(SIS)と同じ敷地内にあり、授業や学校行事も一部共有していたため、SISの生徒と交流する機会が多くありました。SISの生徒の多くが関西学院大学へ進学を予定していたのに対し、OISのIB生は進学先の選択肢が広く、大学進学のための勉強に打ち込む日々が続いていたことが印象的です。学校行事やクラブ活動への参加は少なかったものの、幅広いバックグラウンドを持つ仲間たちと過ごし、学問だけでなく異文化交流を通じて充実した時間を過ごしました。
私はMYP※の頃から理系志向が強く、DP※の科目選びでは迷うことなく、将来的に世界中の医学部を受験することを視野に入れて科目を選びました。万が一、日本の医学部に合格できなかった場合を想定し、ハンガリーやチェコなどのヨーロッパの医学部も選択肢に入れていました。そのため、HL科目は「化学」、「生物」、「数学(解析とアプローチ)」を選択し、SL科目は「日本語A(言語と文学)」、「英語A(言語と文学)」、そして「経済」を履修しました。科目選択に関しては比較的スムーズに決められましたが、その後の学業は必ずしも順調とは言えませんでした。
※ 国際バカロレア(IB)のMYP(Middle Years Programme)は、11歳から16歳を対象とした中等教育カリキュラムです。MYPは、IBの教育プログラムの最終段階であるDP(Diploma Programme)の基礎学習として位置付けられています。DPは16歳から19歳を対象としたプログラムで、2年間のカリキュラムを履修し、最終試験で所定の成績を収めると国際バカロレア資格(IB Diploma)を取得できます。
特に苦労したのは「英語A」と「数学(AAHL)」です。「英語A」では文学の分析が中心となるため、英語ネイティブの生徒と同じ水準で課題に取り組む必要があり、かなりの努力を要しました。私の学校では、英語Bの選択ができなかったため、必然的に「日本語」と「英語」の両方をAで履修し、バイリンガル・ディプロマを取得することになりました。英検1級レベルの英語力をもってしても、英語の文学分析は非常に難しく、どれほど努力しても成績が安定しない時期がありました。言語Aを選択する生徒は、心が英語圏の方でない限りかなり苦労することになると思います。
もう一つ苦労したのは「数学(AAHL)」でした。MYPの頃は常に成績上位で、自信もあったのですが、DPに入ってから内容が格段に難しくなり、一時期は3や4ばかり取っていた時期もありました。数学は暗記だけではなく、ひらめきや深い理解が必要な科目だったため、思うように成績が伸びず、努力してもなかなか結果が出ないことが多く、モチベーションが下がってしまうこともありました。その影響で、当初は授業外での勉強を怠りがちになってしまい、結果的に11年生(Year 1)の5月に行われた模擬試験では、得意だった「化学」や「生物」以外の科目がかなり悲惨な結果になってしまいました。11年生終了時のPredicted Gradeは39点と、岡山大学の出願条件ぎりぎりでした。
この成績を受けて、12年生(Year 2)に入ってからは勉強の習慣を見直し、日々の授業をしっかりと復習しながら成績向上を目指して取り組みました。12年生の2月の模擬試験までにIAやIO(内部評価)の準備を終わらせ、計画的に最終試験の対策を進めることを心がけました。その結果、12年生の2月時点のPredicted Gradeは41点まで上がり、最終的には43点を取得することができました。
また、IBプログラムの中で最も苦労したのはCAS(創造・活動・奉仕)でした。私はMYPの頃から個人的にボランティア活動に積極的に参加しており、CASでもそれを継続して取り組みました。二つのボランティア部の部長を務め、さらに二つの部にも所属し、校内のService Council(ボランティア専門の生徒会)にも参加していました。しかし、日本の医学部はCASをほとんど評価しないため、今振り返ると、その時間をもう少し学業に割いても良かったのではないかと感じています。CASに力を入れたおかげで多くの貴重な経験を得ましたが、将来の進学先や国の評価基準を考慮して、バランスを取ることが大切だと思いました(私は少し頑張りすぎたかもしれません…笑)。
このように、私の高校生活は学業と課外活動の両立を目指してさまざまな困難を乗り越えたものでした。結果的に、IBを通じて自己管理能力や、目標に向かって計画的に努力する力を身につけることができたと感じています。これらの経験が、私が医学部に進学し、将来医師として活躍するうえでの土台となってくれると信じています。
Q4. 一会塾に入塾した理由は?
一会塾に入塾したのは、IBの最終試験が終わり、少し落ち着いた6月後半頃でした。当初は国際医療福祉大学(IUHW)も受験しようかと考えていたのですが、学費の面が心配だったため、最終的には国公立大学のみを受験することにしました。その際、IB生の受験指導に実績のある塾を探していたところ、一会塾の存在を知りました。
一会塾はIB生の指導経験が豊富で、入試形態やIBそのものに対する理解が深く、私のようなIBバックグラウンドの生徒に適した指導をしてくれると感じました。また、医学部受験に特化していることもあり、書類作成や面接対策のサポートを重点的に行ってくれる点に惹かれました。
Q5. 岡山大を受けようと思った理由
日本の医学部でIB入試を実施している大学の中で、一番出願時期が早かったのが筑波大学と岡山大学だったため、まずはこの2校を最優先で考えていました。どちらも国公立であり、学費面でも安心できることから、どちらかに合格すればその時点で他の受験はしないつもりでした。実際、岡山大学に合格した後は他の受験を控えました。
当初は、東京に近いという地理的な理由や、筑波大学の知名度が高いことから、第一志望は筑波大学にしていました。しかし、筑波大学と岡山大学の医学部にIBで入学した先輩方に話を伺う機会があり、その際に岡山大学の魅力に気づきました。岡山大学周辺の環境が思っていた以上に発展していることや、海外実習プログラムが豊富であることを知り、次第に岡山大学に対して強い興味を持つようになりました。特に、私は生涯を都会で過ごしてきたので、生活環境がある程度整っていることは非常に重要でした。また、学生のうちに海外での経験を積むことで、英語力をキープしつつ国際的な視点を持った医師になりたいという目標にも合致していました。
さらに、岡山大学にはIB生のためのコミュニティがあり、先輩や先生方からのサポートが充実している点にも魅力を感じました。私は日本語での学びや、日本の学校に長期で通った経験がほとんどなかったため、こうした環境で学ぶことができるのは大きな安心感がありました。これらの要素が重なり、出願直前には第一志望を筑波大学から岡山大学に変更し、受験に臨みました。
実際に岡山大学で面接を受けた際にも、キャンパスが都会的な場所に位置していることや、IB生に対する理解が非常に深いことを感じ、岡山大学は自分に最も合った選択肢であると確信しました。これらの理由から、岡山大学を志望することに決めました。
Q6. 筑波大・岡山大に向けて行った対策について教えてください。
一会塾では、主に出願書類の添削と面接対策をしていただきました。全てオンラインでの授業でしたが、的確なアドバイスをいただけたおかげで、書類作成や面接準備を効率的に進めることができました。
まず、筑波大学の出願が先だったため、こちらの対策を優先して行いました。筑波大学は提出書類の種類が多かったこともあり、計5回の授業を受講しました。志望理由書では、個人的なエピソード、大学の魅力、私の将来の目標をバランスよく盛り込み、構成をしっかりと見直していただきました。また、細かい表現や文法についても一つひとつ丁寧に指導していただき、自分の考えをより明確に伝える文章を作成できるようになりました。さらに、面接で質問されたいポイントを自分の志望理由書の中に「罠」として仕掛けるなど、面接官にアピールしたい内容を引き出せる工夫についても教えていただきました。
そのほかにも、筑波大学ではEEの日本語要約が必要だったため、一度だけその文法や構成のチェックもしていただきました。科学的な内容については、筑波大学の在学生に確認してもらい、表現や論理構成については一会塾の先生にお願いするなど、複数の視点から添削を行い、内容を練り上げました。
岡山大学の出願書類対策では、計3回の授業を受講しました。筑波大学の志望理由書の内容を一部リサイクルしつつ、岡山大学の特徴に合わせて自己PRを追加しました。さらに、岡山大学では面接対策にも力を入れました。一度だけ余った授業時間を使って面接の練習を行い、面接時に使える表現や言い回し、また、面接全体を通しての必要な思考法について教えていただきました。本格的な授業が終了した後は、先生から共有していただいた各大学の面接過去問を参考に、想定質問に対する回答を作成・リサーチ・暗記し、万全の状態で面接に臨みました。
結果として、書類作成や面接に対する自信を持って受験に臨むことができたのは、一会塾での指導のおかげだと思っています。各大学の出願書類や面接に求められるポイントを押さえ、効果的な対策を行うことで、無事に志望校への合格を果たすことができました。
Q8. 筑波大と岡山大の出願書類や実際の面接で苦労したことについて教えてください。
筑波大学に向けた対策・苦労したこと
筑波大学の出願書類では、志望理由書の量が多く、全体を3ページ以内に収めるために情報を整理することが大変でした。また、EEの日本語要約では、英語で学んできた内容を日本語で分かりやすく伝えるために文章を何度も練り直しました。特に、化学の専門用語や研究内容を日本語で表現することが難しく、科学的な内容の正確さを保ちながら日本語に落とし込む作業に多くの時間を要しました。
面接試験では、2分間のプレゼンテーションを2回行い、その後の質疑応答が進行しました。最初のプレゼンは「筑波大学医学群医学類を志望した理由」についてで、事前に準備していた内容をもとに、アクティブラーニング中心のカリキュラムや地域医療実習の魅力について説明しました。次に、EEの内容に関する即興プレゼンテーションを求められました。私の研究テーマは「直鎖第一級アルコールの炭素鎖の長さがアルデヒド生成効率に与える影響」で、仮説の立て方や実験の結果について簡潔にまとめて発表しましたが、即興で行うため時間配分が難しく、予定通りに話すことができませんでした。
さらに、筑波大学の面接は30分と長く、critical thinkingが試される質問もいくつかされました。例えば、「臨床実習が長ければ良いわけではないが、なぜあなたは長い方が良いと考えるのか」といった、即座に正解がない質問がありました。この質問に対しては、医療現場の経験やチームでの学びが長期間を通じて初めて身につくものであるため、長い方が効果的であると答えましたが、面接官の反応はあまり良くありませんでした。面接全体を通して、事前準備した内容を伝えるだけでなく、その場で思考を組み立てて論理的に説明する能力が強く求められると感じました。
また、面接では特にEEに関する質問が多く、科学的な知識を深く問われました。EEの内容についての質疑応答や、化学の専門用語の日本語での説明が求められた際に、十分に対応できなかったことが苦労した点です。例えば、「ギブス自由エネルギーの式」や「メタノールの酸化式」を黒板に書くよう求められた際、即答できなかったことで面接官に知識の不十分さを露呈してしまいました。また、化学の実験結果の考察についても、面接官の追及に対して自信を持って答えることができず、面接全体を通して自分の知識不足を痛感しました。筑波大学の面接では、IBの内容に精通していることが求められると同時に、幅広い科学的知識を日本語で明確に伝えるスキルが重要であると感じました。
岡山大学に向けた対策・苦労したこと
岡山大学の志望理由書では、大学の3つのポリシー(アドミッション・カリキュラム・ディプロマポリシー)に自分の強みをどのように合致させるかを意識し、具体的なエピソードを交えてアピールしました。内容としては、自分が将来どのような医師になりたいかや、IBプログラムで培った批判的思考力や多文化理解力が岡山大学の求める人物像に合致することを伝えました。
面接では全体的に手ごたえがあり、自分の考えをしっかりと伝えることができたと感じています。志望理由書に基づいた質疑応答に加えて、事前に与えられた資料をもとに、限られた時間内で構成を考え、2分間の発表と質疑応答を繰り返す形式でした。面接官の質問に対して、事前に用意していた内容と、その場で考えた内容を組み合わせて、自分の意見を論理的に説明できたと思います。
例えば、資料をもとに「日本の医療現場における医師不足についてどう考えるか」と質問された際には、国民皆保険制度が医療機関の受診回数を増加させている点を指摘しました。さらに、海外では医療費が高額なため、自己解決意識が強く、ドラッグストアで処方箋なしで購入できる薬が多いことなど、日本と異なる医療環境の現状を説明しました。また、日本の高齢化社会においては、医療に対する需要がますます高まっており、医療制度が持続可能であるためには、予防医療の重要性が高まっていると述べました。この質問に関しては、資料のグラフがヒントを与えてくれたため、そこから自分の知識やひらめきを活用して回答しました。
「医師の長時間労働や労働環境改善について、医学部の定員削減を前提にどう考えるか」という質問に対しては、以下の3点を主な解決策として提案しました。1つ目は、デジタル化による業務効率化。2つ目は、健康寿命を延ばすための予防医療の強化。3つ目は、市販薬に関する知識の普及です。軽度な症状については、ドラッグストアなどで対応可能な薬を積極的に活用することで、病院受診を減らし、医師の負担軽減につなげると提案しました。
「医師の偏在問題についてどう考えるか」という質問に対しては、以下の3つの解決策を提示しました。1つ目は、地方医療の整備と「まちづくり改革」です。2つ目は、中規模医療施設の統合です。地元である奈良県の例を挙げ、医療機関の分散が医療リソースの効率化を阻んでいると説明し、地域の医療機関を統合することで、効率的な医療提供を実現できると主張しました。3つ目は、医学部における倫理教育の強化です。医学生の段階から地域医療の重要性を教え、社会的責任を持って地方勤務を選択する意識を育てることが重要だと提案しました。
岡山大学の面接では、志望理由書や自己推薦書に基づいた質問だけでなく、医療制度や社会問題についての深い理解を求められました。地域医療や日本の医療の現状について、日頃からニュースや社会問題に触れ、幅広い知識を身につけることが求められると感じました。しっかりとした準備と柔軟な思考力が重要であると実感した面接でした。
Q9.インター・IBでよかったと思うこと
インターナショナルスクールでは多様なバックグラウンドを持つ友人たちとともに学び、多文化を理解し、尊重する姿勢を自然と身につけることができました。これにより、どんな環境でも柔軟に対応できる「international-mindedness(国際的な視野)」を養えたと感じています。さまざまな国籍の友人と議論を交わし、異なる視点から物事を考え、自己の意見を主張しつつ他者の考えを受け入れる力を培えたことは、将来医療の分野で多様な価値観を持つ患者さんと向き合う際にも大いに役立つと思います。
また、IBプログラムを通じて、私の英語力をさらに高めることができました。TOEFL iBTでは113点を取得し、英語での論理的思考や表現力を磨くことができましたが、これはIBのカリキュラムを通じて日々英語で学んだ成果だと思っています。
さらに、IBでは自主性を重視した学習スタイルが特徴です。EE※やIA※などの課題を通じて、自らテーマを選び、調査し、考察を深めるプロセスを経験しました。これにより、主体的な学び方や問題解決能力を養うことができたと実感しています。特にEEの執筆では、長期的に一つのテーマに取り組むことで、探究心や自己管理能力を高めることができました。この経験は、今後医療分野で研究や臨床に携わる際にも活かせるスキルだと考えています。
※EE(Extended Essay)
課題論文のことです。日本語の場合は8,000字以内、英語の場合は4,000ワード以内に収める必要があります。
※IA(Internal Assessment)
学校内で評価される課題の総称で、事前提出課題やプレゼン、レポート、エッセイなど教科によって形式が異なります。各高校の先生(学校内部の人)によって採点・評価されます。IBでは、各科目の成績は内部評価(IA)と外部評価(EA)という2つの形態でつけられます。外部評価は外部のIB Examinerによって採点が行われます。IBの最終的な評価のうち約20%〜30%をIAが占めています。また、IBには「知の理論」(TOK: theory of knowledge)、「創造性・活動・奉仕」(CAS: creativity, activity, service)の3つの「コア」要素もあります。
総じて、インター・IBでの学びを通じて得た英語力、国際的な視野、そして自主性は、私にとってかけがえのないものだと思っています。今後もこれらのスキルを活かして、様々な場面で成長していきたいと思っています。
Q10. IBでの医学部受験の難しいところについて
IBを利用して日本の医学部を受験する際に最も難しいと感じたのは、大学ごとに求められる最終成績(IBスコア)の基準が年々上がっている点です。人気のある国公立大学では、足切りの基準点が非常に高く、例えば横浜市立大学は最低40点、岡山大学は39点が求められるため、試験結果が出るまで本当に届いているかどうか分からず、非常に不安な期間を過ごしました。私もPredicted Gradeが39点だったため、最終成績が出るまで合格の可能性が読めず、ひやひやしていたことを覚えています。どの大学も成績を重視する傾向が強く、いくらIBがスキルや応用力を評価するプログラムとはいえ、最終的には高い成績が求められる印象を受けました。書類審査や面接でどれだけアピールしても、基本的には成績の高い順で合格者が決まっているように感じます。
特に岡山大学のように、IB生を積極的に受け入れている大学は人気があり、倍率も高くなりがちです。岡山大学は昨年からIB枠が5名に拡大されましたが、それでも競争は激しく、受験生全体のレベルが高いことを実感しました。また、IBを受け入れている大学自体がまだまだ少なく、どの大学も募集人数が限られているため、受験機会が非常に限定的です。
加えて、7月・8月の募集以外のタイミングでは、書類審査と面接のみで受験できる大学が少なく、日本のカリキュラムに沿った筆記試験や小論文を課されることが多いため、IB生にとっては受験準備の負担が大きくなります。試験内容や対策を見る限り、そもそもIB生を合格させる意図がないのではと感じる大学も少なからず存在するように思います。こうした環境の中で、限られた大学に絞って志望校を決定し、戦略的に受験することがIB生の医学部受験の難しい点だと感じました。
Q11. IBで受験する人に向けてのメッセージ
IBを使って日本の医学部を受験する場合、最優先すべきは最終成績で高得点を取ることです。日本の医学部は海外の大学や9月入学の日本の大学と異なり、最終成績を基に選考されるため、どれだけPredicted Gradeが高くても油断は禁物です。周りの同級生を見ていても、普段のパフォーマンスが必ずしも最終成績に反映されるわけではなく、試験の出題傾向や採点スタイルとの相性によって成績が大きく変わることもあります。試験の結果には、運の要素も少なからず影響するので注意が必要です。
また、学校での授業内容や先生の指導が、必ずしも最終試験に直結するとは限りません。不安を感じたときは、早めに先生や友人、先輩に相談することをおすすめします。正直なところ、科目によっては運よく優れた先生に教わることができたものもあれば(私の場合は日本語と数学)、全く役に立たなかった科目もありました(生物は独学で勉強していました)。どの教科も共通して言えるのは、最終試験の形式や出題傾向に合わせた対策を心がけることが重要だということです。先生の指導が試験対策に役立つかどうかを自分で判断するのは難しいですが、同級生や先輩たちの意見や情報を積極的に取り入れることも役立ちます。
また、CASに過度に時間を割かないことも大切です。アメリカの大学を受験する場合は別ですが、日本の大学では課外活動の評価はそれほど重視されません。私の場合、ボランティア活動を息抜きとして楽しんでいたので良かったですが、もしIBの義務感で取り組んでいたら、長続きしなかったと思います。CASに多くの時間を割くよりも、学業や健康管理、睡眠に十分な時間を取ることのほうが重要です。
実際、私は11年生の頃にCASに専念しすぎてしまい、成績が思うように伸びず、その後の挽回に苦労しました。その結果、12年生の後半に一度学校を休むことになり、本番直前の2か月間はほとんど毎日8〜12時間の勉強を続けて追い込みました。この経験からも、CASに必要以上に力を入れることなく、学業や健康とのバランスを考えながら取り組むことが重要だと感じました。
IBは決して簡単なプログラムではありませんが、しっかりとした計画と適切なサポートを得ることで、最終試験に向けて着実に実力を伸ばすことができると思います。皆さんも、自分に合ったペースと学習スタイルを見つけて、ぜひベストを尽くしてください。応援しています!
Q12. 岡山大を受験する人に向けて
岡山大学を受験するにあたって、まず大切なのは出願書類と面接の対策です。特に志望理由書では、自分の個性や長所をアピールしつつ、面接で聞いてほしい要素をあらかじめ練り込んでおくと良いでしょう。岡山大学の面接官は、書類の内容を基に質問してくることが多いため、志望理由書に記載した内容を深堀りされた際に、自信を持って答えられるよう準備をしておくことが大切です。
面接に関しては、私の場合、今回は医療に直接関連する内容の資料とプレゼンテーションだったので、対策していた内容を応用しながら対応できました。しかし、これまでの出題内容を見ると、医療以外の社会問題がテーマになることも多いようです。IBの試験が終わってからでも良いので、日本や世界のニュースを定期的にチェックしておくことをお勧めします。面接の直前には、医療問題以外にも幅広いトピックに対して自分の意見をまとめておくと安心です。
最後に、岡山大学の受験では面接だけでなく、最終成績も非常に重要です。最終成績が高いことは、出願時や合格選考においても有利に働きます。そのため、最終試験に向けて学習を続け、できる限り良い成績を取れるよう心がけることが大切です。書類と面接、そして最終成績の3つをバランス良く準備して、岡山大学合格を目指して頑張ってください。応援しています!
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