
Q1.講師をはじめたきっかけを教えてください
「教える」ことを始めたのは、学生時代の家庭教師のアルバイトにまでさかのぼりますが、教えることに真剣に取り組み始めたのは、大学を卒業してから20年近くたった頃のことでした。
私の高校時代はまだ終身雇用が当たり前で、周りの友人は将来の仕事についてある程度のビジョンを持っていましたが、私はやりたいことが見つかる前に受験を迎えてしまいました。自分探しと部活動に打ち込んでいた私は、翌年、予備校に通うことになりましたが、そこで出会った英語の先生の授業をきっかけに、英語が少しずつ分かるようになっていきました。
その後、志望校に入学することができましたが、やりたいことを見つける前に4年間が過ぎていきました。卒業後は、さまざまな仕事をしながら生活し、気がつくと北海道にいました。
札幌で仕事を探していた時に、英会話学校の講師の求人を見つけ、応募したところ採用していただきました。仕事帰りの社会人、学生、海外赴任や資格取得を目指す方など、さまざまな背景を持つ方々を指導することになりました。私が講師を仕事にしたのは、その時からです。
教える側の熱量が生徒に伝わり、ついさっきまで言えなかったセンテンスが言えるようになる。目の前の生徒の進歩は、他の仕事では味わったことのない感動を与えてくれました。
Q2.どんな授業を心がけていますか
一人の生徒に対して、毎週1回2時間の授業がある場合、残りの6日間はその人に直接教えることはできません。しかし、その人の進歩は、その6日間にどれだけ努力できるかに大きく左右されます。
そして、その期間に頑張り続けることができるかどうかは、2時間足らずの授業で受ける励ましや刺激、さらには小さな感動に大きく影響されるのだと思っています。
一人ひとりの生徒は、毎日の生活の中で嬉しいこともあれば、気落ちすることや悩み、身体的な疲れ、時には体調不良を経験することもあります。そうした向かい風があっても、学び続ける意欲が湧いてくるような授業を目指しています。
そのためにも、授業の中では教え過ぎず、生徒が自分で正解に到達できるようサポートし、より多くの小さな成功体験を積み重ねてもらうことを大切にしています。そして、その成功体験は、私に生徒を褒める機会を与えてくれます。
植物は昼間も成長しますが、夜の成長の方が大きいそうです。農夫の目の前での成長は限られており、むしろ農夫が畑にいない間に大きく成長するように、生徒も授業が終わった後、次に会うまでの6日間、私の目の届かないところで成長してほしい。そんな願いを持ちながら、次回の授業で会えるのを楽しみにしています。
Q3.授業を進めていく中で大切にしていることを教えてください
「教える」ことは、「教えること」と「教えないこと」のちょうど良いバランスを探ることだと感じています。
先生が話し過ぎると、大切なことが伝わりにくくなるだけでなく、生徒が一人になった時に自分で正解にたどり着くことが難しくなることがあります。
「魚を与えるのではなく、魚の釣り方を教えよ」という格言にも似ていますが、教え過ぎは成長の機会を奪ってしまうこともあります。
一方で、適切に質問をし、ヒントを与えることで、生徒は自分で考えながら正解を導くことができます。それを繰り返すうちに、やがて自分だけで同じような問題を解けるようになります。
この小さな成功の積み重ねが、自信とやる気につながっていきます。その大切なプロセスを作り出し、絶やさないようにすることを大切にしています。
また、自分の進歩は自分ではなかなか気づきにくいものです。だからこそ、教師が生徒の進歩に気づくことはとても大切です。
正解できた時はもちろん、正解できなかった時でも、それまでとは違う間違い方をしていて成長を感じる時があります。そんな時は「よくできたね」「頑張ったね」という言葉に加えて、以前はできなかったどんなことができるようになったのかを、具体的に伝えて褒めるようにしています。
Q4. 授業をしていて一番楽しいと感じる瞬間を教えてください。
授業の中で教えていることや伝えていることを、生徒が吸収し、成長していく姿を見るのは、大きな喜びを与えてくれる瞬間です。
朝、畑に出たとき、野菜が昨日より明らかに大きくなっていることが分かることがありますが、授業の中でも同じような瞬間があります。
もう30年くらい前になりますが、「顔のない天使(The Man Without a Face)」というメル・ギブソン主演の映画を見たことがあります。元教師と一人の少年の心の交流を描いたこの映画の中で、少年が新たな知識を吸収し、教師の助けで、さっきまで分からなかったことが分かるようになる。その瞬間を教師は「至福の瞬間(the moment of grace)」と呼んでいます。
当時の私はまだ教師をしていなかったので、この言葉はイメージすることしかできませんでしたが、今では実際に経験できる瞬間です。
長い時間をかけて理解し、自分の中にようやく落とし込めたことを生徒に伝えられた時、それは私にとって最も心地よい瞬間です。
Q5. この生徒は「伸びる(た)!」と感じる生徒さんの「特徴」(具体的な「指導例」等もあれば)を教えてください
やはり、学びに対して前向きで、吸収しようとする気持ちの強い生徒は成長の可能性が高いと思います。
自分にはまだ伸ばすべき部分があることを認め、教えられることをできるだけ自分のものにしたいという意欲を持っている生徒は、成長が早いです。
また、自分には助けが必要であることを自覚しているため、それまでに自分なりの方法があったとしても、提案やアドバイスに柔軟に応じることができます。何としてもステップアップしたいという気持ちがあるからです。
まだコロナ禍が続く中、受験まであと数か月に迫った9月末に、北海道大学を志望する現役高校生に出会いました。共通テストは200点中185点以上を目標にしていたものの、当時は140点前後までしかスコアを伸ばせない状態でした。一方で、陸上部の長距離選手として、最後の競技会までは引退したくないという思いも持っていました。
私は彼に、「残された時間が長くても短くても、焦らず、ボキャブラリー強化・文法力強化・読解力強化を当日まで続けていきましょう」と伝え、一緒に学習メニューを作成して課題に取り組みました。
本番での到達目標から逆算して、年末までに何を行うか、今月末までに何をするか、今週中に何をするか、そして今日何をするかを明確にしました。彼は目の前にあるその日その日の課題に愚直に向き合い、私はそれを日々果たせるよう励まし続けました。
その結果、その生徒は本番で力を発揮し、現役合格することができました。やはり、学びに対する強い思いは、コツコツ努力するための大きな原動力だと思います。
Q6. 一会塾の良いところはどんなところですか?
つい最近まで北海道に住んでいた私は、神奈川県に引っ越してきてからウェブサイトで一会塾のことを知りました。
第一印象は、どこか懐かしく、先生と生徒の距離が近く、先生同士もコミュニケーションを取りながらチームとして働いている塾だというものでした。
実際にここで教えるようになってからも、一会塾はその時の印象の通りだと感じています。
さまざまな背景を持つ個性豊かな先生たちが、それぞれの持ち味を発揮できる自由な校風があります。そしてその雰囲気が、生徒の皆さんが先生に近づき、気軽に質問できる環境を作り出していると感じています。
Q7. 受講される方へのメッセージをお願いします。
現在は英語を専門としておりますが、私自身にとって、英語の習得は決して順調だったわけではなく、成功も失敗も経験してきました。
だからこそ、何をどのくらいやれば目標に手が届くのかを、一緒に考えていきたいと思っています。
試験当日までに何をすればよいか、今月中に何をすればよいか、そして今日は何をすればよいか。中長期的な目標と短期的な目標を立て、一つひとつ取り組んでいきましょう。
英語が難しく、苦手だと感じているかもしれませんが、英語には克服できない壁はないと考えています。
難問だけに取り組むのではなく、「分からなくなった」と感じた地点に一度戻り、基礎から積み重ねることが効果的です。
基礎に戻って「分かった」という経験をたくさん積み重ねることで、自信がついていき、それはやがて力に変わっていきます。
英語は勉強ですが、スポーツのような側面もあります。ボキャブラリー、文法力、読解力という3つの力をバランスよく強化し、さらに音読というシンプルで効果的な方法を取り入れながら、継続的に力を伸ばしていきましょう。
皆さんが目標に近づけるよう、全力で応援します。


