順天堂大学 医学部 帰国枠合格
立花ななこさん
小中高のバックグラウンドを教えて!
私は、幼稚園から高校までの14年間、同じインターナショナルスクールに通いました。インターに入学した主な理由は、私の父が外国籍で、家族の共通語が英語であることです。
私の出身校は、国際バカロレア(IB)認定校で、初等部(PYP)、中等部(MYP)と高等部(DP)の3課程があります。高校課程(DP)を履修し、最終試験に合格すると、国際バカロレア資格が授与され、これが大学受験資格となります。
医師になろうと思ったきっかけ、いつから?
私は幼い頃から、医師になりたいという漠然とした想いがありました。その気持ちは高校に入っても変わらず、私が高校生の頃、祖父母を病気で亡くしたことをきっかけに、医師になることを決意しました。
高校生活について
私の高校生活は、勉強漬けの日々でした。IBのカリキュラムは複雑で厳しく、2年間(実質1年8ヶ月ほど)で高校3年分のカリキュラムを履修しなければなりません。
IBの課題の多くはレポートや研究論文の形式で、私は常に大量の課題に追われていました。そのため、自己管理、時間管理の能力が養われました。
IBDP課程では、履修する6つの科目を自分で選択します。そのうち3科目はStandard Level (SL)、3科目はHigher Level(HL)で履修します。私のSL科目は、英語、日本語、心理学、HL科目は、生物、化学、数学(AA)でした。
国際バカロレア資格で医学部を受験する場合、出願資格に科目指定や点数の基準があります。そのため、指定された科目の履修は必須となり、基準点に達するために各教科の点数を伸ばすことが重要です。私は、苦手科目に関しては、IBに特化したオンラインの家庭教師を探し、対策をしました。また、私の場合、IUHW以外の大学は、IBの点数のみで受験できるところを候補として視野に入れていたので、IB以外の(共通テストなどの)勉強はしませんでした。
また、課外活動にも積極的に取り組みました。クラブ活動のリーダーや生徒会会長を務めたり、ボランティア活動に参加したりし、自己PRできることを増やしました。
一会塾に入塾した理由、時期
入会のきっかけは、母がネットで見た、一会塾の生徒さんの国際医療福祉大(IUHW)の合格体験記でした。
一会塾に入塾したのは、IBの最終試験が終わった今年の5月です。私は第一志望がIUHWで、一会塾は生徒さんを何人も IUHWの合格へと導いている実績があるので、IUHWのテスト対策をするため入塾しました。
私は、化学、数学、生物の個別指導をオンラインで受けました。オンライン指導であったにも関わらず、どの先生も科目に合った授業の仕方をしてくださり、とても助かりました。
私はIUHWの1回目を受けたのですが、対策期間が短かったこともあり、手応えがなく、不合格でした。IUHWは2回目の試験もありますが、1回目を受けた後、自分には合ってないと感じたので、2回目は受験しませんでした。
オンライン指導を受けた科目と対策内容回数について
・化学:IUHW対策2023年5月〜8月で29回実施
・数学:IUHW対策2023年5月末〜8月末で8回実施
・生物:IUHW対策2023年6月〜8月で8回実施
・小論文、出願書類、面接:原田先生、北海道大学および順天堂大学対策2023年9月〜10月で6回実施
順天を受けようと思った理由
はじめは、順天堂大学を視野に入れていませんでした。二次試験免除条件を満たしていない限り、日本留学試験または共通テストが必須であったためです。オープンキャンパスに行ったこともありませんでしたが、順天堂大学の医学部はとても有名で人気があり、憧れの気持ちはありました。そこで、IB最終試験で点数を伸ばすことができ、順天堂大学医学部入試の二次試験免除条件を満たせたことと、選択肢、チャンスを増やした方がいいと思ったことで、急遽、順天堂の受験も視野に入れました。
また、北海道大学も国際総合入試(理系)で受験することにしました。北大の国際総合入試で合格し入学する場合、2年次以降、進みたい学部に行ける保証はありません。こちらも当初は受験する予定はありませんでしたが、チャンスを増やすため、こちらも候補に入れました。
順天堂(と北大)の対策について
一会塾では、順天堂の小論文および面接対策を一通りしました(英作文除く)。小論文と面接は、原田広幸先生にオンラインで指導していただきました。
私の場合、小論文対策は3回行い、いずれも過去問を練習しました。授業では、小論文における分析と説明のバランスや、写真内の人物の視点から考える際のポイント、読み取れることを言語化する力など、様々なことを学びました。私があらかじめ書いた小論文を、先生がその場で解説しながら添削してくださる形なので、とても分かりやすく、なるほど、と納得することが多かったです。
面接対策は、オンラインで1回、対面で1回行いました。先生が、面接によくある質問をまとめた「面接準備シート」を用意してくださり、私は質問に対する答えを準備しました。特に対面の授業では、私が用意した面接準備シートの答え一つひとつに、丁寧にアドバイスをしてくださり、より説得力と一貫性のある内容に仕上げてくださいました。私は面接の準備と練習を何度も重ね、自分の答えに自信を持つことができたので、本番は落ち着いて挑めたと思います。
また、北海道大学の出願書類も原田先生に指導していただきました(オンラインです)。無事一次選考(書類)を通過しましたが、すでに順天堂の合格通知をいただいていたので、二次選考(面接)は辞退しました。北大の書類作成には多くの時間を費やしたので、二次試験を辞退したのは少しもったいなかったかな、とも思います。
オンライン指導で不安はあった?あった場合、解消するためにした工夫は?
オンライン指導について、大きな不安はありませんでした。先生方は、たくさん資料を用意してくださったので、常に授業内容の復習ができました。
一方で、先生方と直接連絡がつながっていなかったこともあり、質問や疑問があってもすぐに尋ねることができなかったのは少し不安でした。そのような時は、次回の授業のはじめに質問をすると、時間をかけて丁寧に解説してくださいました。また、対面の授業でしか得られない臨場感を、オンラインではなかなか得ることができませんでしたが、それは仕方がないと思います。
ただ、連絡役の先生はいつもメッセージに素早く返信してくださり、急な相談にも対応してくださったのでとても助かりました。また、先生の方から(順天堂大学の)先輩にも連絡を取り、志望理由書と学業計画書の建設的な意見・アドバイスをくださったので、とても役立ちました。
順天堂の試験について
順天堂の筆記試験は、手応えがありました。私は英語が得意なので、先に英作文を書き、残りの時間で小論文を書くよう時間配分しました。
英作文の質問は、『同年代の人に勧める本について』でした。今までの出題内容とは傾向が違う問いでしたので、少し戸惑いました。しかし、ちょうどその頃いろんな本を読んでおり、勧めたい本がすぐに思い浮かび、その本について書くことができました。私は、医学に関する本を選び、医学知識をアピールするのではなく、あえて医学に関係のない洋書を選びました。私が英作文の質問で記述した洋書は、時間をかけて熟読したものでもあり、内容について同年代の人に勧めるという視点を持って回答することができたと思います。
小論文の方は、少し苦労しました。写真は、難民キャンプで勉強するアフガニスタンの少年を撮影したもので、問いは、「この少年に取って学ぶことはどのような意味があるのか。この少年の言葉で書きなさい。」でした。私は、写真内の人物の気持ちになり、小論文を書く練習はしましたが、人物の言葉で、(いわば)本人になりきって書いたことはなかったので、頭を悩ませました。ですが、問いへの回答はすぐに思いついたので、作文の構成を練りつつ、考えていることを少年の言葉にしながら、文章を書きました。
面接は、筆記試験の翌日で、私の時間帯は15時でした。面接の雰囲気は、聞いていた通りとても和やかで、私の遅い時間帯にも関わらず、面接官の先生方(4人)は笑顔で対応してくださいました。受験生はフェイスシールドを着用し、受験生と面接官の間にパーテーションが設置されているので、本番は、練習以上に声量を上げることを意識しました。
1人目の面接官には、(順天堂と医学部の)志望理由や、学校、課外活動などについて聞かれました。
2人目には、小論文について問われました。面接官は、私の書いた小論文をiPadで開きながら、主に写真の分析に関する質問をしました。これは、自分が書いたことの根拠(つまり分析をもとに考えたこと)を説明できるかを確かめるためだと思います。
3人目と4人目には、持参した賞状や、海外の大学の受験などについて問われました。
想定していた質問は1人目の面接官からしか聞かれず、あとは想定外の質問でしたが、慌てずに落ち着いて自分の答えを考えました。正直さと熱意をアピールできたのではないかと思います。
~この試験の当日、一会塾では、筆記試験の当日に、小論文の分析を行い、受験生全員にメールで送りました。面接で小論文について聞かれるからです~
順天堂大 医学部 帰国枠 の小論文(アフガニスタン難民キャンプの少年)の分析はこちら
インター・IBでよかったと思うこと
インターナショナルスクールでよかったと思うことは、他の受験生とは英語力で差をつけられることです。私の通ったインターは、授業が全部英語で行われることもあり、バイリンガルです。(TOEFL iBTのスコアは110/120点、IBの英語の成績は7/7でした)
順天堂大学は、USMLE対策にも取り組んでおり、海外で活躍する医師の養成に力を入れています。自分の英語力を役立て、将来国際的に活躍する医師になれる、とアピールしました。実際、面接では私の英語力の高さについて面接官から質問があり、特にその点を評価していただけました。
IBでよかったと思うことは、課外活動への取り組みがカリキュラムに組み込まれていることです。CAS(creativity, activity and service)というプログラムがあり、生徒が部活動、生徒会活動、ボランティア、その他活動等に参加する機会が与えられます。CASを有効的に活用すれば、自己 PRできることが格段に増えます。例えば、私はCASの一環として、部活の部長、生徒会で副会長・会長を務めたり、ディベートの大会やボランティア活動に参加しました。面接では諸活動について聞かれたので、これまで経験してきたことと、自分がどのように成長したのかをアピールしました。IB生であれば、CASを有効に活用し、他の人・受験生がやっていないような活動に取り組むことをお勧めします。私の場合、少し珍しい大会(Scholar’s Cup)に参加し、その際に受賞したトロフィーを面接に持参したところ、面接官に興味を持ってもらえました。
反対に、IBでの受験の難しいところは?
日本国内の大学をIBで受験する難しさの一つは、IB生を受け入れている大学が少ないということです。IBの認知度は、日本の大学にはあまり高いとは言えず、IB入試はそれほど浸透していません。そのため、IB入試を実施している大学があっても、書類と面接のみで受験できるところは少なく、DPの最終試験とは別に、共通テストや日本留学試験の受験を必要とする大学が多く見られます。DPの勉強と、共通テストなどの受験勉強は大きく異なるので、両立するのは難しいと思います。
さらに、IB生のみの大学受験枠はほとんどなく、募集人数も少ないです。医学部は、特に狭き門です。今回、順天堂大学で私が受験した枠も、「国際バカロレア/ケンブリッジ・インターナショナル選抜」で、募集人数はわずか2名でした。
また、進路や大学によっては、出願条件に必須とする履修科目があります(例えば、医学部の場合、科学系の科目を2つ以上、数学必修等)。DP課程が始まる前から、ある程度進みたい学部が決まっている場合は問題ありませんが、まだわからない場合、DP課程の途中で科目変更することは難しいので、注意が必要です。
IB受験のアドバイス
IBで受験する人は、まずはIBの成績を伸ばすことに専念することが大事です。当然のことながら、成績が高ければ高いほど、受験は有利です。特に医学部の足切りは、38、39点あたりと高得点です。
また、順天堂の場合、IBの成績が40点以上で、科目などの一定条件を満たしていると、二次試験(共通テスト・日本留学試験)が免除になります。順天堂を受験する場合、二次免除を狙い、IBで40以上を目指すのも一つの手だと思います。
順天堂を受験する人へ
順天堂の筆記試験は、独特です。しかし、IB生からすると、言語の科目のPaper 1 (写真を分析し、エッセイを書く試験)に非常に似ているので、割と取り組みやすい試験なのではないかと思います。ですから、筆記試験において、IB生はアドバンテージがあると思います。
しかし、順天堂の小論文は、Paper 1と異なり、表面的な分析だけでなく、分析をもとに構成された物語も必要です。そのような考え方を身につけるため、塾できちんと対策することが得策だと思います。特に、分析を踏まえてどのようなストーリーを組み立て、それをどのように言語化するのか、という思考力を養うことが重要であると思います。
また、とても些細なことですが、順天堂の面接官は、受験生一人ひとりに違う質問をしている気がしました。例えば、私の場合、インターナショナルスクールに通っており、英語が得意なので、学校や海外の大学の受験について質問されました。私の面接態度が冷静だったので、感動すること・驚いたりすることはあるのか聞かれるなど、想定していなかった質問を多くされました。ですから、面接においては、自分だからこそ聞かれそうな特殊な質問をいくつか考え、それに対する回答を考えておくといいかもしれません。どの角度から質問されても答えられるように、自分についての理解を今一度、深めておくことも役に立つと思います。
帰国受験生の募集は2025年1月からスタートします。
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